鏡餅は友引に飾っても問題ない？六曜や日付による縁起の考え方

2025年9月25日鏡餅

新年を迎える準備で慌ただしい中、古くからの日本のしきたりについて「これで合っているのかな？」と疑問に思うことはありませんか。

特に、一年間の幸せを願って飾る鏡餅については、「友引に飾ってもいいのだろうか？」と、六曜との関係で手が止まってしまう方もいらっしゃるかもしれません。

お正月の準備には、縁起を担ぐための日取りや様々な慣習があり、特に鏡餅を飾る日付には、知っておきたい古くからのしきたりや注意点が存在します。

この記事では、多くの方が悩みがちな友引と鏡餅の関係性から、年神様をお迎えするのに最もふさわしい日取り、そして鏡餅の伝統的な飾り方や現代的な楽しみ方まで、分かりやすく丁寧に解説していきます。

鏡餅は友引に飾っても問題ない？

鏡餅を友引に飾っても大丈夫？

結論から申し上げますと、おめでたいお正月の準備である鏡餅を友引に飾ることは、全く問題ありません。

それどころか、六曜を意識して日を選ぶのであれば、友引は大安に次ぐ吉日とされており、お祝い事にはむしろ好ましい日とされています。

では、なぜ一部で「友引は避けた方が良い」というイメージがあるのでしょうか。

その理由は、「友を引く」という字面から、お葬式において「故人が友を冥界へ引いていってしまう」と連想されることにあります。

この考えから、現在でも多くの火葬場が慣習として友引を休業日としており、「友引には葬儀を行わない」という風習が社会的に広く定着しています。

重要なのは、この考え方が適用されるのは、あくまで「弔事（ちょうじ）」、つまりお葬式に限られるという点です。

鏡餅を飾ることは、年神様をお迎えして新年を祝う「慶事（けいじ）」です。

そのため、友引の「幸せを友に引き寄せる」という良い意味合いが当てはまり、お正月の準備をする日としてふさわしいと言えます。

六曜は神道や仏教とは関係がない

大安や仏滅、友引といった「六曜（ろくよう）」は、私たちの生活に深く浸透しているため、神道や仏教といった日本の伝統的な宗教に由来するものだと考えられがちです。

しかし、実は六曜は神道や仏教とは直接的な関係が一切ありません。

六曜の起源は14世紀ごろの中国にあり、当初は時刻の吉凶を占うものでした。

日本に伝わった後、江戸時代末期から明治時代にかけて、日の吉凶を占うものとして民間の間で爆発的に広まったのです。

そのため、「仏滅」という漢字も元々は「物事が滅する」という意味の「物滅」が当てられていたものが変化したと言われており、仏教とは無関係です。

ただ、現在の日本では冠婚葬祭の日取りを決める際に広く参考にされており、一種の社会的な慣習として生活に根付いています。

そのため、科学的根拠がないと一蹴するよりも、「縁起を担ぐ」という日本らしい文化的な側面として柔軟に捉えるのが良いかもしれません。

鏡餅を飾る際に避けた方がいい日付や時間帯は？

鏡餅を飾る日取りには、古くから縁起が悪いとされ、避けるべき日付が明確に存在します。

特に注意が必要なのは、年末の12月29日と12月31日です。

12月29日：「二重苦」を連想させる日

29日の「九」が「苦しむ」を連想させるため、「二重苦」として縁起が悪い日とされています。

新しい年の福を招く年神様をお迎えする準備として、苦しみを連想させる日は避けるのが古くからの慣習です。

ただし、地域によっては「29」を「ふく（福）」と読み、縁起が良いとする考え方もあるようですが、一般的には避ける傾向にあります。

12月31日：「一夜飾り」となり失礼にあたる日

大晦日である31日に慌てて飾ることは「一夜飾り」と呼ばれ、年神様に対して誠意に欠ける失礼な行為とされています。

また、お葬式の準備が通夜から葬儀まで一夜で行われることを連想させるため、不祝儀を連想させ縁起が悪いとも言われています。

年神様は元旦に家々を訪れると考えられているため、その前日に急ごしらえで準備をするのは、歓迎の気持ちが薄いと捉えられてしまうのです。

飾る時間帯については特に厳格な決まりはありませんが、大掃除を済ませた後、午前中から日中の明るい時間帯に飾ると、清々しい気持ちで準備ができるでしょう。

鏡餅を飾る縁起の良い日は？

では、鏡餅を飾るのに最も良い日はいつなのでしょうか。

一般的に、最も縁起が良いとされているのは12月28日です。

その最大の理由は、漢数字の「八」がその形から「末広がり」を意味し、未来への繁栄や発展を象徴する大変縁起の良い数字とされているためです。

この日に鏡餅を飾ることで、新しい年が幸多き、豊かな一年になるようにとの願いを込めることができます。

もし28日の都合がつかない場合は、12月30日に飾るのも良いでしょう。

30日はキリの良い数字であり、避けるべき29日と31日の間にあることから、問題のない日とされています。

鏡餅を飾る際に気を付けるべきことは？

鏡餅は単なるお正月の飾り物ではなく、その年の福をもたらす年神様に来ていただくための、神聖なお供え物です。

そのため、飾る際にはいくつかの点に注意し、年神様への敬意と感謝の気持ちを払うことが大切です。

まず最も重要なことは、飾る場所をきれいに掃除し、清浄な空間を保つことです。

年神様は清らかな場所を好まれるとされているため、年末の大掃除をしっかりと済ませ、ほこりなどを丁寧に払った神聖な場所を用意してお迎えしましょう。

次に、鏡餅を直接棚や床に置くのはなるべく避けましょう。

最も丁寧な飾り方は、「三方（さんぽう）」という台座の上に「四方紅（しほうべに）」という赤い縁取りのある紙を敷き、その上にシダ植物である「裏白（うらじろ）」を置いてから鏡餅を乗せます。

三方がない場合は、お盆やきれいなお皿で代用しても全く問題ありません。

形だけにとらわれるのではなく、心を込めて準備をし、感謝の気持ちと共に清らかな空間に鏡餅を飾ることが、年神様への最高のおもてなしとなります。

鏡餅は友引に飾っても大丈夫？

鏡餅はいつから飾っていい？早くてもOK？

お正月の準備を始める「正月事始め」という日は、一般的に12月13日とされています。

この日は、かつて江戸城で一年の汚れを払い清める「煤払い（すすはらい）」が行われたことに由来し、この日を境にお正月の準備を始めるのが習わしでした。

そのため、この13日以降であれば、いつから鏡餅を飾っても問題はなく、決して早すぎるということはありません。

しかし、現代の生活ではクリスマスという大きなイベントがあるため、それが終わる12月25日以降に飾り始めるご家庭がほとんどです。

また、本物のお餅で作られた鏡餅の場合、あまりにも早くから飾ってしまうと、鏡開きの日（1月11日頃）までに乾燥でひび割れがひどくなったり、室内の環境によってはカビが生えてしまったりする可能性も考えられます。

こうした実用的な面と現代の生活習慣を考慮すると、クリスマス後から縁起の良い28日にかけての期間、つまり12月26日〜28日ごろに飾り始めるのが最も一般的と言えるでしょう。

鏡餅は置物やレプリカを使ってもいい？

近年、スーパーマーケットなどでは伝統的なお餅の鏡餅と並んで、木やガラス、陶器、ちりめん細工などで作られた置物や、プラスチック製の容器に切り餅が入ったレプリカタイプの鏡餅も多く見られます。

こうした現代的な鏡餅を使っても良いのか、迷う方もいるかもしれませんが、結論としては、置物やレプリカを使用しても全く問題ありません。

お正月行事で最も大切なのは、年神様をお迎えし、新しい一年の家族の健康や幸せを願う「気持ち」です。

現代のライフスタイルや住宅事情に合わせて、各家庭で取り入れやすい形で伝統行事を楽しむことが、文化を未来につなげていく上でとても重要です。

日本の大切な食文化としての鏡餅について、農林水産省の「季節と餅」では、鏡餅が年神様へのお供え物であり、三種の神器になぞらえられていることなどが解説されています。

お餅を食べる習慣がないご家庭や、アレルギーの心配がある場合、また手軽にお正月の雰囲気を楽しみたい場合には、こうした現代的な鏡餅を上手に活用するのがおすすめです。

鏡餅を使い回すのはOK？縁起が悪い？

鏡餅を翌年以降も使い回して良いかどうかは、その鏡餅が「本物のお餅」でできているか、「置物やレプリカ」かによって明確に答えが異なります。

本物のお餅の場合

本物のお餅でできた鏡餅の使い回しは、衛生的な観点からも、縁起の面からも絶対にNGです。

門松やしめ縄などのお正月飾りは、年神様をお迎えするために毎年新しく清浄なものを用意するのが基本です。

古いものを使い回すことは、年神様に対して大変失礼にあたると考えられています。

また、一年間飾ったお餅は、たとえ見た目がきれいでも品質が劣化しているため、食べることはできません。

置物やレプリカの場合

木やガラス、プラスチックなどで作られた置物（オブジェ）タイプの鏡餅は、毎年きれいに手入れをすれば、使い回しても全く問題ありません。

これらは神様へのお供え物という厳密な意味合いよりも、お正月の季節感や雰囲気を楽しむための「インテリア」としての側面が強いからです。

お正月が終わったら、柔らかい布でほこりを拭き取り、湿気の少ない場所に大切に保管して、翌年も飾りましょう。

鏡餅は家のどこに置くのが一般的ですか？

鏡餅は、年神様がやってきて宿る「依り代（よりしろ）」としての重要な役割があるため、家の中でも特に重要で、家族にとって神聖な場所に飾るのが良いとされています。

伝統的に鏡餅が飾られてきた場所は、以下の通りです。

• 神棚：家に神様をお祀りしている、家の中で最も神聖な場所です。お米のお供えの代わりとして中央にお供えします。
• 床の間：武家屋敷の様式から来た、お客様をお迎えする最も格式高い場所です。掛け軸や生け花と共に飾ります。

現代の住宅では神棚や床の間がないご家庭も多いため、その場合は以下のような、家族にとって大切で清浄な場所が飾る場所にふさわしいでしょう。

• リビング：家族が最も長く時間を過ごし、団らんの中心となる場所。テレビボードの上や飾り棚などが適しています。
• 玄関：お客様や新しい福を迎え入れる、まさに家の顔となる場所。靴箱の上などをきれいに整えて飾ります。
• キッチン・台所：生活に欠かせない火や水を司る神様への感謝を込めて、少し小さな鏡餅を飾るのも良い習慣です。

どこに飾る場合でも、最も大切なのは、掃除が行き届いた清潔な場所に、年神様への感謝と敬意を払って飾ることです。

年神様に気持ちよく滞在していただける、一番ふさわしい場所を家の中に作ってあげましょう。

鏡餅は三宝なしでも飾ってもいいですか？

三方（さんぽう）がなくても、鏡餅を飾って全く問題ありません。

三方は、神様へのお供え物を乗せるための最も丁寧で正式な台座ですが、現代の生活において、必ずしもすべての家庭で用意しなければならないものではありません。

三方がない場合は、以下のようなもので心を込めて代用することができます。

最も重要なのは、鏡餅を床や棚に直接、直に置かないという心遣いです。

何か一枚清浄なものを敷いたり、少し高さのある台に乗せたりすることで、それが神様への大切なお供え物であるという敬意を示すことができます。

ご家庭にあるもので工夫し、心を込めて飾ることが何よりも大切です。

鏡餅は友引に飾っても問題ない？まとめ

この記事の重要なポイントを、箇条書きでまとめます。

• 友引は葬儀を避ける日で、お祝い事である鏡餅の飾り付けは問題ない
• 六曜は神道や仏教とは直接関係のない中国由来の民間信仰である
• 多くの神社でも六曜と神事は無関係との見解を示している
• 鏡餅を飾るのを避けるべき日は12月29日と大晦日の31日
• 29日は「二重苦」、31日は「一夜飾り」として古くから嫌われる
• 鏡餅を飾るのに最も縁起が良いとされる日は12月28日
• 28日は漢数字「八」が末広がりで繁栄を意味するため
• 28日が無理ならキリの良い12月30日も良い日とされる
• 飾る時期は正月事始めの12月13日以降ならいつでも問題ない
• 一般的にはクリスマス後の12月26日から28日に飾ることが多い
• 飾る場所は神棚や床の間、現代ではリビングや玄関が一般的
• 飾る前にはその場所をきれいに掃除し清浄に保つことが最も重要
• 木やガラスなどで作られた置物やオブジェは毎年使い回しても良い
• 本物のお餅は毎年新しいものを用意するのが古くからのマナー
• 三方がなくてもお盆やお皿、きれいな和紙などで代用できる