鏡餅の売れ残りはどうなる?値下げや廃棄の実態と活用する方法
お正月が明けると、スーパーの店頭でふと目にする鏡餅の売れ残り。
見慣れた光景ではありますが、大幅に値下げされた商品を見ると、「これらの鏡餅は最終的にどうなるのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか。
「もったいない」と感じつつも、廃棄されてしまうだけなのか、それとも誰か買う人がいるのか、そしてお得に手に入るなら賢い活用法も気になるところです。
一方で、神様へのお供え物であった縁起物を、時期を過ぎてから家に置くことで運気に影響はないのか、心配になる方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、そんな鏡餅の売れ残りに関するあらゆる疑問に多角的に答え、その背景にある小売店の事情から、食品ロス問題、私たちの生活に役立つ情報まで、その行方と賢い付き合い方を徹底解説します。
- 売れ残った鏡餅が最終的にどうなるのか
- 売れ残りを安く購入するメリットや注意点
- 食品ロス削減にも繋がる賢い活用法
- 時期が過ぎた縁起物の扱い方と運気の関係
鏡餅の売れ残りはどうなる?
鏡餅の売れ残り品はどうなるのか?
年末には正月用品売り場の主役として華々しく店頭に並んだ鏡餅ですが、年が明けると一転して売れ残り品となり、その多くは大幅な値下げを経て販売されます。
この背景には、スーパーなどの小売店が抱えるジレンマがあります。
それは、「お客様が欲しい時に品切れしている」という販売機会の損失を避けたいという思いです。
そのため、需要期には意図的に多めに商品を発注する傾向があり、クリスマスケーキや恵方巻などと同様に、季節性の高い鏡餅はどうしても売れ残りが発生しやすいのです。
値下げをしてもなお売れ残った場合、その行方は一つではありません。
売れ残り品の主な行方
一つは、中身のお餅だけを取り出し、従業員向けに安価で販売するケースです。
最近の鏡餅は、プラスチックの容器の中に個包装された餅が入っているタイプが主流です。
しかし、その個包装フィルムには賞味期限が印字されていないことが多く、法令上お客様への再販売ができないという事情があります。
そこで、福利厚生の一環として従業員に販売することで、廃棄を減らす工夫がされています。
また、すべての売れ残りが廃棄されるわけではありません。
近年高まる食品ロス削減の意識から、社会貢献活動に繋げる動きも活発です。
例えば、コープさっぽろのプレスリリースによると、食品ロス削減の一環として、売れ残った鏡餅を道内の児童養護施設へ寄付するといった社会貢献活動も行われています。
(出典:コープさっぽろ「際物商品の食品ロス削減の取り組み 鏡餅のフードバンク提供のお知らせ」)
それでもなお残ってしまったものや、卸問屋に返品されたものなどは、残念ながら最終的に廃棄処分となる道をたどります。
日本の食品ロス問題
日本の食品ロス量は年間523万トン(令和3年度推計値)にも上り、これは国民一人ひとりが毎日お茶碗一杯分のご飯を捨てている量に相当します。
季節商品の購入計画を立てることも、食品ロス削減への貢献に繋がります。
(出典:農林水産省「食品ロスとは」)
鏡餅の売れ残りを買うのはどんな人?
時期を過ぎた鏡餅を積極的に購入するのは、主に「節約を意識している人」や「お餅を純粋な食材として楽しみたい人」たちです。
お正月が過ぎると、小売店は一刻も早く在庫を処分したいため、大幅な割引に踏み切ります。
定価では1,000円近くする立派な商品が、80円や30円といった驚くべき価格で販売されることも珍しくありません。
このような人々にとって、売れ残りの鏡餅は家計に優しい、非常にお得な食材となるのです。
売れ残り鏡餅を購入する人々の動機
- 合理的な節約家:縁起物としての時期よりも、食品としての価値と価格を重視し、賢く家計を管理します。
- お餅愛好家:季節を問わずお餅を食べるのが好きで、安価にストックできる機会を逃しません。
- 大家族や学生:消費量が多い家庭や、食費を切り詰めたい学生にとって、セール品は大きな助けとなります。
- bargain hunter:破格の値段で商品を手に入れること自体に楽しみを見出す買い物上手な人々。
「お正月飾り」としての役割にこだわらず、「安くて美味しいお餅」として捉えているわけですね。
縁起を過度に気にしない、あるいは「美味しく食べることが一番の供養」と考える、合理的で柔軟な価値観を持つ方々とも言えるでしょう。
年末に飾りを準備できなかった家庭や、長期の旅行から帰省したばかりの家庭にとっても、この時期のセールは大きな魅力となります。
純粋に食料品としての価値を見出し、賢く購入しているのです。
鏡開きまでに買えれば一応は間に合う
「三が日も過ぎた今から鏡餅を買っても意味がないのでは?」と感じるかもしれませんが、日本の伝統的な風習である「鏡開き」までに飾るのであれば、一応は間に合うと考えられています。
鏡開きとは?
鏡開きは、年神様が宿っていたお餅を家族で分け合って食べることで、神様の力を授けてもらい(御神徳)、一年間の無病無災を願う大切な行事です。
武家社会の風習から始まったもので、刃物で切ることは切腹を連想させるため、手や木槌で割るのが習わしです。
一般的には松の内が終わる1月11日に行われることが多いですが、地域文化によって日付が異なる場合もあります。
地域による鏡開きの日付の違い
松の内(門松などを飾っておく期間)が1月15日までの地域(主に関西地方)では、鏡開きを1月15日や1月20日(二十日正月)に行うこともあります。
ご自身の地域の風習を確認してみるのも良いでしょう。
年末年始に長期で家を空けていた、あるいは多忙でうっかり飾り忘れてしまったという場合でも、鏡開きの日までにお供えし、感謝を込めていただくことで、その文化的意味合いを尊重することができます。
本来は「歳神様をお迎えする」ためのもの
ただし、鏡餅を飾る本来の目的は、新年を迎えるにあたり、歳神様をお迎えするための大切なお供え物であるという点を忘れてはいけません。
多くの神社で推奨されているように、28日までに飾るのが望ましく、29日(二重苦)や31日(一夜飾り)は避けるのが習わしです。
最も丁寧なのは、やはり年末の決められた時期に飾ることです。
(参考:産泰神社「【これで丸わかり!】お正月飾りはいつから飾る?飾るタイミングからその後の処分まで神職がわかりやすく解説します!」)
鏡餅の売れ残りを活用する方法は?
売れ残りを活用する方法は何がある?
売れ残りの鏡餅を無事に安く手に入れたら、ぜひ食材として存分に活用しましょう。
パッケージを開ければ、中身は通常のお餅と何ら変わりありません。
アイデア次第で、お正月気分をもう一度味わうもよし、まったく新しい料理に変身させるもよし、楽しみ方は無限大です。
定番の食べ方はもちろん、普段は試さないような少し変わったアレンジレシピに挑戦する絶好の機会です。
食事系レシピ | お雑煮、力うどん、お好み焼き(細かくして生地に混ぜる)、鍋の具材、チーズタッカルビ |
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軽食・おやつ系レシピ | 餅ピザ:薄く切ったお餅をピザ生地の代わりにして、お好みの具材とチーズを乗せて焼きます。 |
餅グラタン:ホワイトソースやミートソースに小さく切ったお餅を加え、チーズをかけて焼き上げます。 | |
揚げだし餅:片栗粉をまぶして揚げたお餅に、大根おろしやネギを乗せ、だしつゆをかけていただきます。 | |
餅ワッフル(モッフル):ワッフルメーカーでお餅を挟んで焼くだけ。外はカリカリ、中はもちもちの新食感スイーツになります。 |
最近の鏡餅は、中のお餅が一切れずつ個包装になっているタイプがほとんどです。
このため、一度にすべてを使い切る必要がなく、カビの心配も少なく、保存が非常にしやすいという大きなメリットがあります。
お餅の長期保存方法
すぐに食べきれない場合は、個包装のまま冷凍保存するのがおすすめです。
冷凍すれば数ヶ月は美味しくいただけます。
使う際は、凍ったまま調理するか、自然解凍または電子レンジで解凍してください。
食べたい時に食べたい分だけ使えるので、日々の食卓やお弁当の一品、小腹が空いた時のおやつとしても重宝するでしょう。
時期が過ぎた縁起物は運気が下がる?
「時期外れの縁起物を買うと、なんだか縁起が悪そう…」「運気が下がるのではないか」と心配される方がいますが、そうした考えに明確なスピリチュアル的な根拠はありません。
お守りなどのご利益の期間は一般的に「約1年」とされていますが、それは感謝を込めて新しいものと交換する一つの区切りです。
古いものを持っているだけで直ちに不運に見舞われるといった性質のものではないのです。
最も大切なのは、縁起物に対する感謝の気持ちと、それをどう扱うかという心構えです。
縁起物と上手に付き合う心構え
たとえセール品として購入したものであっても、それが元々は神様へのお供え物であったことに敬意を払い、ぞんざいに扱わないことが重要です。
食材として購入したならば、最後まで美味しくいただくことが、食べ物への何よりの感謝であり供養になります。
もし、どうしても「時期外れ」という点が心に引っかかるのであれば、無理に購入する必要はありません。
ご自身の気持ちが晴れやかであることが、運気を呼び込む上で一番大切なことです。
役目を終えた鏡餅のプラスチック容器などを処分する際は、他のゴミとは別の袋に入れ、塩で清めてから半紙などに包んで出すと、より丁寧な対応と言えるでしょう。
また、古いお札やお守りと同様に、地域の神社で行われる「どんど焼き(左義長)」に持ち寄って、他の正月飾りと一緒に焚き上げてもらうのも良い方法です。
縁起物でも時期が過ぎれば値下げ&廃棄
鏡餅が日本の文化において神聖な縁起物であることは、誰もが知る事実です。
しかし、現代社会においてスーパーなどの小売店で販売されている以上、それは「商品」というもう一つの顔を持っています。
ビジネスの観点から見れば、どんな商品にも「旬」があり、季節商品はその時期を過ぎると商品価値が著しく低下します。
小売店は、限られた売り場スペースを効率的に活用し、常に新しい商品を陳列して利益を追求しなくてはなりません。
そのため、在庫を現金化するために値下げを行い、それでも売れ残れば廃棄せざるを得ないのです。
これは、スーパーが「お客様がいつ来ても欲しいものが揃っている」という信頼を維持するための在庫管理戦略の一環でもあります。
品切れを恐れて少し多めに仕入れるのは、お客様をがっかりさせないための、商売として当然の判断と言えますね。
中には、売れ残りによる損失(廃棄ロス)をあらかじめ販売価格に上乗せした「縁起物価格」で販売されているのでは、という見方もあります。
つまり、鏡餅は「伝統文化としての縁起」と「資本主義における商売」という二つの論理の上で成り立っています。
そして、ひとたび販売期間が過ぎれば、商品としての価値が優先され、値下げや廃棄の対象となるのは避けられない現実なのです。
鏡餅の売れ残りはどうなる?まとめ
この記事の重要ポイントをまとめます。
- お正月後に売れ残った鏡餅は大幅に値下げされる
- スーパーは品切れ回避のため多めに発注する
- 最終的には半額以下で販売されることが多い
- 売れ残りは廃棄されることもある
- 中身のお餅だけ従業員向けに販売される場合も
- 児童養護施設などに寄付され社会貢献に繋がるケースもある
- 節約したい人や食材として欲しい人が購入する
- 鏡開きまでに飾れば一応は間に合う
- 本来は年末に神様をお迎えするために飾るもの
- 売れ残りは食材として多様なレシピに活用できる
- 最近の鏡餅は中身が個包装で使いやすい
- 時期が過ぎた縁起物で運気が下がる根拠はない
- 大切なのは感謝の気持ちを持って扱うこと
- 古い縁起物はどんど焼きなどで供養できる
- 鏡餅は縁起物であると同時に商品でもある