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鏡餅の大きさには意味があるのか?縁起的な意義やサイズの違い

2025年11月18日鏡餅

鏡餅の大きさには意味があるのか?縁起的な意義やサイズの違い

お正月が近づくと、いよいよ新年だなという気持ちになりますが、同時に準備も忙しくなりますよね。

スーパーの店頭にも鏡餅がたくさん並び始めますが、いざ買おうと思った時、「鏡餅の大きさっていっぱいあるけど、どれを選べばいいんだろう?」「そもそも鏡餅の大きさや、あの2段重ねになっていることに何か意味はあるのかな?」と疑問に思ったことはありませんか?

私自身、最初はよく分からずに「なんとなくこれくらいの大きさかな?」で選んでいました。

でも、調べてみると、鏡餅は一つひとつの要素に深い意味が込められた、とても縁起の良い「祈りのオブジェ」だったんです。

例えば、鏡餅の上に乗っている橙(だいだい。みかんに見えることも多いですね)や、お餅の下に敷く裏白(うらじろ)などの飾りの意味。

そして、鏡餅をいつからいつまで飾るのが正解なのか、飾る場所はどこがいいのか。

さらに、鏡開きはいつやるのが正しいのか、万が一カビてしまった場合の処分方法など、意外と知らないことが多いかもしれません。

この記事では、そんな鏡餅に関するたくさんの「なぜ?」を、基本から一つひとつ丁寧に解き明かしていきますね。

鏡餅に込められた日本の文化や先人の願いを知ると、お正月を迎える気持ちが、きっと今よりもっと豊かになるかなと思います。

この記事を読んでわかること
  • 鏡餅の大きさを表す「合」や「升」の目安
  • 2段重ねや3段重ねが持つ象徴的な意味
  • 橙や裏白など、鏡餅の飾りに込められた願い
  • 鏡餅を飾る時期や場所、処分の方法

鏡餅の大きさと意味について

まずはじめに、皆さんが検索された「大きさ」や「形」に関する基本的な意味から見ていきましょう。

実は、鏡餅は「大きさ」そのものよりも、なぜあの「形」をしているのか、なぜ「重ねる」のか、という点にこそ深い意味が込められているんですよ。

鏡餅の大きさの単位:合と升

鏡餅の「大きさ」ですが、スーパーで売っているプラスチックパック入りの製品だと、S・M・Lのようなサイズ表記をよく見かけますよね。

でも、伝統的にはお餅の原料であるお米の体積を表す「合(ごう)」や「升(しょう)」という単位が使われてきました。

「鏡餅の大きさに、一升なら縁起が良くて、一合だと劣る、みたいな意味があるのかな?」と考えるかもしれませんが、実は大きさ自体に厳密な象徴的意味(吉凶)は規定されていないんです。

大きさは、お供えする場所の「格」や「広さ」に応じて、実用的に選ぶものとされています。

大きさの目安と飾る場所の例

  • 一升(いっしょう): お米一升分(約1.5kg / お餅にすると約1.8kgほど)で作った大きなサイズです。神棚や床の間など、家の中で最も神聖な場所や、家族が集まる広いリビングの中心に飾るのに適しています。
  • 一合(いちごう): 直径7cm程度(製品によります)の小さなサイズです。台所やお手洗い、家族それぞれの机(勉強机や仕事机)など、家の各部屋に小さくお供えする場合によく使われます。

一升というと、お米10合分ですからかなりの大きさですよね。

昔は親戚一同が集まる家も多かったでしょうから、鏡開きの後でみんなに振る舞うためにも、それなりの大きさが必要だったのかもしれません。

現代の核家族や一人暮らしの場合は、ご家庭のスペースや、鏡開きの後に食べきれる量に合わせて、適切なサイズを選ぶのが一番です。

大切なのは、年神様(としがみさま)という新年の神様をお迎えする「感謝の気持ち」なので、大きさにこだわりすぎる必要はないかなと思います。


鏡餅を重ねる意味とは?

鏡餅といえば、丸いお餅が大小2つ重なっている形が最も一般的ですよね。

この「丸い形」と「重ねる形」には、それぞれちゃんとした意味があります。

由来:神聖な鏡(依り代)

鏡餅という名前の由来は、その形が古代の「銅鏡(どうきょう)」に似ていることから来ています。

でも、単に「形が似ているから」というだけではないんです。

古代日本において、鏡は「三種の神器」の一つであると同時に、神様が宿る神聖な器、あるいは神様の姿そのものとして信仰されてきました。

神聖なものを映し出し、神様を招き寄せる力があると信じられていたんですね。

一方で、お餅の原料である「米」もまた、一粒一粒に「稲霊(いなだま)」という生命力が宿る、日本人にとって最も神聖な食べ物とされてきました。

そのお米を蒸し、大勢で力を込めて搗(つ)き固めて作るお餅は、稲の生命力が凝縮された神聖な「ハレ」の日の食べ物です。

つまり鏡餅とは、神聖な「鏡(神の器)」の形を、神聖な「餅(稲の生命力)」で模した、年神様が宿るための最もふさわしい「依り代(よりしろ)」、すなわち神様の居場所(神座)そのものなんです。

重ねる意味:吉祥(縁起担ぎ)

そして、その神聖なお餅を大小2つ重ねる「二段重ね」には、さらに縁起の良い意味が込められています。

二段重ねに込められた意味

  • 「福が重なる(福重)」
  • 「円満に年を重ねる」
  • 「太陽と月」(陰陽)の象徴

「福が重なる」や「円満に年を重ねる」というのは、語呂合わせもあって分かりやすいですよね。

良いことが重なりますように、というストレートな願いが込められています。

また、「太陽と月」という、宇宙を構成する二元的な要素(陰と陽)を象徴しているとも言われ、鏡餅が単なるお供え物ではなく、一つの小さな宇宙観を表現しているとも考えられます。

難しい思想と、分かりやすい縁起担ぎが融合しているのが、日本の伝統文化の面白いところですね。


鏡餅の2段と3段の意味

一般的には「2段」の鏡餅を見ることがほとんどですが、地域や信仰によっては「3段」に重ねる風習もあります。

「3段重ね」は台所の神様?

京都など一部の地域では、古くから格式を重んじる文化が反映されているのか、3段重ねの鏡餅が用いられることがあるようです。

また、民俗的には「3段重ね」は台所の神様である「荒神様(こうじんさま)」専用のお供え物とされることも多いんです。

家全体の包括的な神様である「年神様」には2段重ねを、私たちの生活(食と火)を直接支えてくれる専門の神様である「荒神様」には、より丁寧に3段重ねを、というように、お供えする神様によって明確に区別していたんですね。

地域によるバリエーション

鏡餅の形は全国一律ではなく、その土地の歴史や文化を反映した多様性があります。

例えば、石川県金沢市などでは、二段重ねの一方を紅(赤)く着色した「紅白の鏡餅」が用いられます。

この由来には諸説ありますが、加賀藩・前田家が菅原道真の子孫とされ、道真が愛した「紅梅・白梅」にちなんだという説や、「源氏(白旗)と平氏(赤旗)」にちなんだ説などがあるそうです。

こうした地域の特色を知るのも、鏡餅の面白いところですよね。


鏡餅の飾りの意味を一覧で解説

鏡餅は、お餅本体だけでなく、それを彩る様々な「飾り」と一体になることで、一つの完成された「祈りのオブジェ」となります。

これらの装飾一つひとつに、先人たちの切実な願いや自然観が込められているんですよ。

鏡餅の飾りは、大きく分けると「語呂合わせ(ダジャレ)」による縁起担ぎと、「植物の生態(自然観)」に人間の願いを投影する象徴的行為、という二大要素で構成されています。

代表的な飾りと、その象徴的意味を一覧表にまとめてみました。

名称分類象徴的な意味・由来
橙(だいだい)語呂合わせ/生態「代々(だいだい)」家系が続くように、という願い。
裏白(うらじろ)生態/象徴葉の裏が白いことから「清廉潔白」。左右対称で「夫婦円満」。
ゆずり葉生態/象徴新しい葉が育つと古い葉が場所を譲ることから「子孫繁栄」。
串柿(くしがき)語呂合わせ「嘉来(かき)」(喜びが来る)という語呂合わせ。
昆布(こんぶ)語呂合わせ「よろこぶ」という語呂合わせ。
御幣(ごへい)神道儀礼紅白または白の紙。神聖な飾りで「魔除け」「繁栄」の意味。
四方紅(しほうべに)神道儀礼四方を赤で縁取った敷紙。「天地四方」の災厄を払う意味。
三方(さんぽう)神道儀礼お供え物を乗せる神聖な台。三方に穴が開いている。

こうして見ると、鏡餅は「願い事の集大成」のようですよね。

これら全てを揃えるのは大変ですが、意味を知っておくだけでも、飾るときの気持ちが変わりそうです。


鏡餅の上の橙の意味

飾りの一覧でも紹介しましたが、鏡餅の一番上に乗せる柑橘類は、スーパーなどでは葉付きの「みかん」で代用されていることも多いですが、本来は「橙(だいだい)」が正しいとされています。

なぜ「みかん」ではなく「橙」なのでしょうか。

これには2つの深い理由があります。

「代々」の語呂合わせ

一つは、もうお分かりかもしれませんが、「代々(だいだい)」という語呂合わせです。

「家系が代々繁栄し、続きますように」という、子孫繁栄への強い願いが込められています。

「代々続く」植物の生態

二つ目の理由は、この橙という植物の生態的な特性にあります。

橙は、一度実が成ると、冬になっても木から落ちずに何年も残り続けることがあるそうです。

そして一つの木に、古い実と新しい実が同時に存在することもあります。

この非常に縁起の良い生態が、まさに「代々続く」ことの視覚的な象徴として捉えられ、新年の神様をお迎えする鏡餅の頂上に飾るのに、最もふさわしい果実とされたんですね。


鏡餅の大きさや意味と飾り方

鏡餅の形や飾りに込められた意味が分かったところで、次は「じゃあ、実際にどうやって飾ればいいの?」という実践編です。

鏡餅は、いつ、どこに、どのように飾るかという「設(しつら)え」の作法にも、年神様への敬意が表れているんですよ。

鏡餅の裏白やゆずり葉の意味

飾り付けの中でも、特に「裏白(うらじろ)」と「ゆずり葉」は、日本の豊かな自然観が反映された、特に象徴的な飾りです。

裏白(うらじろ)

裏白はシダ植物の一種ですね。

この飾りの最大の特徴は、葉の裏側が真っ白であること。

そして、飾る際にはこの白い裏側を、神様に見えるように「上向き」にしてお餅を乗せるのが作法とされています。

裏白に込められた意味

  • 清廉潔白: あの裏側の白さから「心の潔白さ」や「清廉潔白」を象徴します。神様に嘘偽りのない心を示しているんですね。
  • 夫婦円満: 葉が左右対称に美しく対になって生える様子から、「夫婦円満」を願う意味もあります。
  • 長寿: シダ植物は、古い葉が落ちずに残り、その先から新しい葉が育っていく生態を持つものが多いため、「長寿」や「久しく栄える」象徴ともされます。

ゆずり葉

こちらは、その名の通り「譲る(ゆずる)」という特性を持つ植物です。

ゆずり葉は、春になって新しい葉が十分に大きく育つのを見届けてから、それまであった古い葉がその場所を「譲る」ようにして落ちていきます。

昔の人はこの姿を見て、「親から子へ家が代々円満に受け継がれるように」という、子孫繁栄や家督の円満な相続の願いを込めたんです。

植物の生態を人間の営みに重ね合わせる、とても日本的な感性ですよね。


鏡餅はいつからいつまで飾る?

鏡餅を飾る時期は、単なるカレンダー上の日付ではなく、「いつまでに準備を終えるか」という、神様をお迎えする「礼儀」の観点がとても重要視されます。

飾る日:12月28日がおすすめ

鏡餅を飾り始めるのは、12月28日が最も良いとされています。

これは、漢数字の「八(はち)」が「末広がり」を意味し、とても縁起が良いとされるためです。

年神様をお迎えする大切な準備は、縁起の良い日に万全に整えておきたい、という気持ちの表れですね。

遅くとも30日までには飾り付けを終えて、ゆったりと新年を迎えたいものです。

避けるべき日:12月29日と31日

逆に、飾るのを避けるべき日として、以下の2日間が知られています。

  • 12月29日: 「九(く)」が「苦」を連想させ、「二重苦(にじゅうく)」にもつながるとして、縁起が悪いと忌み嫌われます。これは「言霊(ことだま)」を大切にする日本の文化ですね。
  • 12月31日: 大晦日に慌てて飾ることを「一夜飾り(いちやかざり)」と呼びます。これは、新年の神様をたった一日前に慌てて迎えることになり、「誠意がない」「失礼にあたる」とされ、古くから避けられてきました。(葬儀の飾り付けを連想させるため、という説もあります)

飾っておく期間

鏡餅を飾っておく期間は、一般的に「松の内(まつのうち)」と呼ばれる期間までです。

松の内とは、門松やしめ縄を飾っておく期間であり、年神様が各家庭に滞在されている期間のことを指します。

この松の内が明ける日は地域によって異なるため、鏡餅を片付ける日(鏡開き)も変わってきます(詳しくは次の「鏡開き」で解説しますね)。


鏡餅を飾る場所はどこ?

鏡餅は、年神様をお迎えするための神聖な「依り代(居場所)」です。

そのため、家の中の神聖な場所や、家族にとって主要な場所に飾るのが基本です。

主な飾り場所

  • 神棚(神様がいらっしゃる場所)
  • 床の間(家の中で最も格が高い「上座」)

これらは家の中で最も神聖な場所、あるいは家の「中心」とされる場所です。

もし神棚や床の間がないご家庭でも、リビングの棚の上や玄関など、家族が集まる場所やお客様を迎える少し目立つ場所に、敬意を込めて飾れば全く問題ありません。

また、もう一つ重要な場所が、台所(かまど)です。

ここには火の神様である「荒神様」がいらっしゃるため、専用の鏡餅(地域によっては3段重ね)をお供えする風習も大切にされてきました。

家中に「分霊」していただく

昔の考え方では、お迎えした年神様は家の中心(神棚など)に宿るだけでなく、家の中の各場所に「分霊(ぶんれい)」して宿ると信じられてきました。

そのため、神棚や床の間といった「上座」に大きな鏡餅(一升餅など)を一つお供えするだけでなく、台所、お手洗い、子供の勉強机、家族の仕事机など、家の中の様々な場所に小さな鏡餅(一合餅など)をお供えするという風習もあるんです。

特に注目すべきは、お手洗いのような場所を不浄として排除するのではなく、むしろ年神様が宿られることでその場所が「清められる」という、逆転の発想が民俗信仰の中に見られる点です。日本のアニミズム(八百万の神)的な世界観がよく表れていますよね。

現代の生活でも、伝統的な三方(さんぽう)という台がなくても、お気に入りのお盆(トレー)や綺麗なお皿の上に乗せるなどして、ご自身の生活空間に合わせて飾って楽しむのが良いかなと思います。


鏡開きはいつ?関東と関西

お正月が過ぎ、年神様にお供えしていた鏡餅を下げて食べる儀礼を「鏡開き(かがみびらき)」と言います。

飾って終わりではなく、この「鏡開き」で神様の力をいただくことで、一連の正月儀礼が完結します。

鏡開きとは?

鏡開きとは、年神様をお送りした後、その力が宿った神聖なお餅(鏡餅)を家族で分かち合い、それを食べる儀礼のことです。

お雑煮やお汁粉(ぜんざい)などにして食べるのが一般的ですね。

神様が宿っていたお餅をいただくことで、その神聖な力を体内に取り込み、一年間の無病息災や五穀豊穣を祈願する、とても大切な行事なんです。

鏡開きはいつ行うか(地域差)

鏡開きを行う時期には、基本的なルールと、それに基づく地域差が存在します。

基本ルールは、年神様がいらっしゃる「松の内」が明けてから行う、というものです。

松の内が明ける前に鏡餅を下げて食べることは、神様がいらっしゃるのにお供え物を下げてしまうことになり、失礼にあたるとされます。

この「松の内」の期間が、地域によって異なるため、鏡開きの日付も変わってきます。

  • 関東地方: 江戸時代の幕府のお達しにより、松の内が「1月7日」までとされることが一般的です。そのため、鏡開きは1月11日に行うのが通例となっています。
  • 関西地方(旧習): 関西地方などでは、松の内を元々の「1月15日」まで(小正月)とする地域が多く、その場合は鏡開きも1月15日や、さらに古い習わしである1月20日(二十日正月)に行われることがあります。

(ちなみに、もともと全国的に鏡開き(当時は「鏡割り」)は1月20日に行われていました。

しかし、江戸幕府三代将軍・徳川家光の月命日が20日であったため、武家社会では月命日である「20日」を避けるようになり、代わりに1月11日に行う風習が江戸(関東)を中心に定着した、という歴史的な背景もあるんですよ。)

お住まいの地域の慣習に合わせて行うのが一番ですね。

なぜ「開く」と呼ぶのか?

お餅を食べるのに、「割る」や「切る」ではなく、わざわざ「開く」という言葉を使うのにも理由があります。

これは武家社会の風習が色濃く反映されています。

武士にとって「切る(きる)」という言葉は、「切腹(せっぷく)」を連想させる非常に縁起の悪い「忌み言葉(いみことば)」でした。

そのため、年の初めに「切る」を避け、「開く(ひらく)」という縁起の良い言葉が使われるようになりました。

「開く」には「運を開く」「未来を開く」といった吉祥の意味が込められています。

この名残から、お供えして乾燥し、カチカチに硬くなった鏡餅は、包丁などの刃物で「切る」のではなく、手や木槌(きづち)などで叩いて「割る」のが伝統的な作法です。

(現代のパック餅はそこまで硬くないですけどね!)


鏡餅の処分方法:カビたら?

さて、最後のテーマは、現代において最も悩ましいかもしれない「処分」についてです。

特に、伝統的な生餅の鏡餅を飾っていると、どうしてもカビが生えてしまうことがありますよね。

【最重要】カビの生えた餅は食べてはいけない

神様にお供えしたものだから「もったいない」と、カビが生えた部分だけ削り取って食べようとするかもしれませんが、それは健康上のリスクが非常に高いため、絶対に避けてください

【最重要】カビの生えたお餅は食べてはいけません

目に見えるカビを取り除いても、カビの菌糸は見えないレベルで餅の内部深くまで入り込んでいます。

カビの中には、アレルギー疾患の原因になるものや、カビの種類によっては「マイコトキシン(カビ毒)」という有害な物質を生成するものがあります。このカビ毒は、通常の加熱調理(焼く・煮る)では分解されず、発がん性物質を含むものもあると指摘されています。

(出典:農林水産省「食品のかび毒に関する情報」

健康を害してしまっては元も子もありません。カビが生えてしまった鏡餅は、残念ですが食べるのを諦めてください。

※万が一、カビの生えたお餅を食べて体調に異変を感じた場合は、すぐに医療機関にご相談ください。


伝統的な処分法(どんど焼き)は非推奨

では、食べられなくなった鏡餅はどう処分すればよいのでしょうか。

正月の飾り(しめ縄、門松)を神社などで燃やす「どんど焼き(とんどさん、お焚き上げなどとも呼びます)」に持っていくことを考えるかもしれませんが、鏡餅は本来「食べ物」であり、「燃やす飾り」とは区別されるため、どんど焼きでの処分は推奨されていないことが多いです。

特に現代の鏡餅は、プラスチック容器や包装が一体化しているものが多く、これらを燃やすとダイオキシンなどの有害物質が発生する環境問題につながるため、神社側も化学素材が混入したものの持ち込みを問題視しています。

現代の正しい処分法

カビが生えて食べられなくなった鏡餅は、食品(生ゴミ)として分類されます。

したがって、自治体のルールに従い、「一般ゴミ(可燃ゴミ)」として処分するのが、最も現実的で正しい方法です。

とはいえ、年神様が宿っていた神聖なものを「ゴミ」として捨てることに、罪悪感や抵抗を覚えるのは、日本人としてとても自然な感覚ですよね。

この伝統的な信仰心と、現代の廃棄物処理システムという「現実」とを両立させるため、以下のような「心の作法」(現代的な儀礼)を行うことが提案されています。

ゴミとして出す際の「心の作法」

感謝の気持ちを込めて、以下のような手順を踏むと、心の負担が和らぐかもしれません。

  1. 塩を振って清める: 神道では塩が清めの力を持つとされています。
  2. 半紙(なければ白い紙)に包む: 人目に触れないよう、敬意を込めて包みます。
  3. 他のゴミとは別の袋に入れる: 生ゴミなどと一緒にするのに抵抗がある場合は、別にして袋の隅に入れます。
  4. 感謝の気持ちを持って処分する: 「ありがとうございました」と心の中で(あるいは口に出して)感謝を伝えてからゴミに出します。
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これが現代の私たちにできる、一つの「けじめ」であり、伝統と現実の折り合いの付け方なのかもしれませんね。


鏡餅の大きさの意味についてまとめ

今回は、鏡餅の大きさの意味から、2段重ねの理由、一つひとつの飾りの意味、飾り方(時期・場所)、そして鏡開きや処分方法まで、幅広く見てきました。

あらためて振り返ると、鏡餅の「大きさ」自体(一合や一升)には強い吉凶の意味はなく、飾る場所の格や広さに合わせて実用的に選ぶものでしたね。

それよりも、神聖な「鏡」を模した形、「代々栄える(橙)」「福が重なる(二段重ね)」「子孫繁栄(ゆずり葉)」といった、形や飾りの一つひとつに込められた「願い」こそが、鏡餅の核心だったんだなと、私も改めて感じました。

鏡餅の大きさや意味を知ることで、今年のお正月は、いつもより少し深く、年神様をお迎えする気持ちになれるかもしれません。

この記事が、あなたの素敵なお正月準備の一助となれば幸いです。

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