鏡餅はテレビ台に飾っても大丈夫?置く際の注意点&位置や高さなど
年末が近づくと、慌ただしくも心躍るお正月の準備が始まりますね。
中でも鏡餅は新年を迎える上で欠かせない大切な飾りですが、いざ飾るとなるとその置き場所に悩む方も多いのではないでしょうか。
特にマンションなどの現代の住環境では、「床の間や神棚がない」というご家庭も少なくありません。
そんなとき、自然と家族が集まるリビングの主役であるテレビ台は、鏡餅を飾る場所の有力な候補になります。
この記事では、鏡餅をテレビ台に飾る際の正しい置き方や、知っておきたい注意点、そして飾り付けや片付けの時期に至るまで、伝統的な背景も踏まえながら総合的に詳しく解説します。
家族みんなで気持ちよく新年を迎えるために、ぜひ最後までお読みください。
- 鏡餅をテレビ台に飾る際の具体的な注意点
- 伝統的な飾り場所から現代の住宅に合わせた飾り方
- 鏡餅を飾るのに縁起の良い日と避けるべき日
- 鏡餅を片付ける適切なタイミング
鏡餅はテレビ台に飾っても大丈夫?
鏡餅はテレビ台に飾ってもOK?
結論から言うと、鏡餅をテレビ台に飾ることは全く問題ありません。
古くからの習わしでは、家の中で最も神聖な場所とされる床の間や、神様をお祀りする神棚が鏡餅の主な飾り場所とされてきました。
しかし、現代の住宅事情ではそれらの場所がないご家庭も非常に増えています。
お正月の飾り付けで最も大切なのは、形や場所にこだわりすぎること以上に、新しい年の豊穣や家族の健康を司る「年神様」をお迎えし、感謝を込めてお祝いする気持ちです。
そのため、伝統的な場所に固執せず、ご自身のライフスタイルや住環境に合わせて、年神様が心地よく滞在してくださると思える場所を柔軟に選ぶことができます。
実際に、Yahoo!知恵袋などのQ&Aサイトでも、テレビが薄型になったことで生まれたテレビ台のスペースを、鏡餅の飾り場所として活用しているという声は多く見られます。
核家族化が進み、神棚がない家庭では、リビングのサイドボードなど、家族が自然と集う明るい場所が、鏡餅の飾り場所として推奨されています。
時代の変化とともに、お正月の風習も少しずつ形を変えています。
ご家庭の状況に合わせて、年神様をお迎えするのに最もふさわしいと思える、清らかで明るい場所を選びましょう。
家族が集まる場所には飾っておきたい
鏡餅を飾る場所を選ぶ上で最も大切なポイントは、家族が集まる賑やかな場所に飾ることです。
鏡餅は、ただのお供え物ではありません。
新年をもたらす年神様が、家にお越しになってからお帰りになるまでの間、滞在するための「依り代(よりしろ)」という非常に重要な役割を持っています。
そのため、家族団らんの中心であり、家の「心臓部」とも言えるリビングや茶の間のような、暖かく和やかな雰囲気に満ちた場所に置くのが理想的とされているのです。
リビングの中でも、直接床に置くのではなく、サイドボードやキャビネットの上など、少し高さがあり、埃がかぶりにくく、家族の目線に入りやすい場所が良いでしょう。
その点で、テレビ台はまさにリビングの中心にあり、家族の視線が自然と集まる場所なので、年神様の依り代である鏡餅を飾るのに適した場所と言えるでしょう。
鏡餅をテレビ台に置く時の注意点
テレビ台に鏡餅を飾ること自体は問題ありませんが、年神様に敬意を払い、丁寧にお迎えするためにいくつか注意すべき点があります。
以下のポイントをしっかりと押さえておきましょう。
テレビの真上は避けましょう
ブラウン管テレビが主流だった時代は、奥行きのあるテレビの上に直接鏡餅を置く光景もよく見られました。
しかし、現在の薄型テレビは上部や背面に排熱口があるものが多く、その熱によってお餅が乾燥してひび割れたり、傷んだりする可能性があります。
また、テレビの上は不安定で、何かの拍子に鏡餅が落下し、人やペットが怪我をしたり、テレビ画面が損傷したりする原因にもなりかねません。
飾る際は、テレビの真上ではなく、必ず安定したテレビ台の天板の上を選びましょう。
騒がしい場所や低い場所に関する考え方
テレビやスピーカーのすぐ近くは、大きな音が出て騒がしく、神聖な年神様が落ち着いて滞在できない場所だと考える人もいます。
また、日本の礼法では、神様やご先祖様など敬うべき対象を、人間が見下ろすような低い場所に置くのは避けるべきだとされています。
テレビ台に飾る際は、可能であればスピーカーから少し離れた場所に置いたり、お盆や三方(さんぽう)と呼ばれる専用の台座を用いて少し高さを出したりするなどの工夫をすると、より一層丁寧な飾り方になります。
家の中で他に鏡餅を置くべき場所は?
鏡餅は、年神様の依り代として家に一つだけ飾らなければならない、という決まりはありません。
むしろ、年神様の御霊(みたま)は家の様々な場所に宿ると考えられているため、メインの大きな鏡餅とは別に、小さめの鏡餅を複数の場所に飾ることが推奨されています。
テレビ台の他にも、以下のような場所に飾るのが一般的です。
伝統的な飾り場所
古くからの日本の家屋における慣習では、家の中で最も格式が高い場所とされる床の間が、鏡餅を飾る第一の場所とされてきました。
また、神様やご先祖様を日常的にお祀りしている神棚や仏壇も、鏡餅をお供えするのに非常に大切な場所です。
特に神棚があるご家庭では、日頃の感謝を込めて忘れずにお供えしましょう。
いろいろな場所にいる神様
私たちの暮らしは、目に見えない多くの神様によって支えられていると考えられています。
それぞれの場所の神様に感謝を込めて、小さめの鏡餅を飾るのも古くからの良い習慣です。
- キッチン(台所):火を司り、火事から家を守ってくださる竈神(かまどがみ)や荒神(こうじん)様がいます。1年間の火の安全と家族の食事を支えてくれることへの感謝を込めてお供えします。
- 寝室・書斎:これらの私的な空間には納戸神(なんどかみ)様がいるとされ、家内安全や財産を守るご利益があると言われています。
- トイレ:厠神(かわやがみ)様は、不浄な場所を清めるだけでなく、古くから安産や子育てにご利益のある神様として篤く信仰されてきました。
- 洗面所など水回り:私たちの生活に不可欠な水を司る水神(すいじん)様がおり、水害などから家を守り、清らかな水の恵みを与えてくださいます。
鏡餅はテレビ台に飾ってもいい?
鏡餅を飾ってはいけない場所はある?
鏡餅を飾る場所について、「ここに飾ると縁起が悪い」といった絶対的なタブーは多くありませんが、いくつかの場所については様々な考え方が存在します。
特にご家庭内で議論になりやすいのが玄関やトイレの扱いです。
避けるべきという考え方
一説には、玄関は家の中ではお客様を迎える公の場であり、格としては「下座」にあたる、またトイレは排泄を行う「不浄な場所」であるという考え方があります。
こうした理由から、神聖な年神様が宿る鏡餅を飾るにはふさわしくない、とする意見が見られます。
飾っても良いという考え方
一方で、玄関は年神様が家に入ってこられる最初の場所であり、お客様をお迎えする「家の顔」でもあるため、一番立派な鏡餅を飾って歓迎の意を示すべきだ、という地域や風習も根強くあります。
また、前述の通りトイレにも厠神という大切な神様がいるため、その神様へのお供えとして鏡餅を飾るのは理にかなっている、という考え方もあります。
これらの考え方は、どれが唯一の正解というわけではなく、地域や各家庭の風習によって大きく異なります。
最も大切なのは、ご自身の家の中を清らかに保ち、年神様や各所の神様へ感謝の気持ちを込めてお供えすることです。
ご家族と相談しながら、皆様が納得のいく場所を選ぶのが良いでしょう。
鏡餅を飾るのに縁起の良い日付や時間帯は?
鏡餅を飾り始める日にも、古くからの風習に基づいた、縁起の良い日と避けた方が良い日があります。
年末の大掃除をしっかりと済ませ、家の中を清浄な状態にしてから飾り付けを行いましょう。
日付 | 理由と解説 | |
---|---|---|
おすすめの日 | 12月28日 | 漢数字の「八」が末広がりで、未来への発展や繁栄を意味するため、大変縁起が良い日とされています。 |
飾っても良い日 | 12月30日 | 28日に飾り付けができなかった場合におすすめの日です。キリが良く、旧暦の大晦日にもあたらないため問題ないとされています。 |
避けるべき日 | 12月29日 | 数字の「九」が「苦」を連想させ、「二重苦」にもつながるため、縁起が悪い日として古くから避けられています。 |
避けるべき日 | 12月31日 | 大晦日に慌てて飾ることを「一夜飾り」と呼び、葬儀の準備と同じであることから、年神様に対して誠意がなく失礼にあたるとされています。 |
一般的には、クリスマスの飾りが終わる12月26日から28日頃までを目安に飾る家庭が多いようです。
遅くとも30日までには飾り付けを終え、心穏やかに新年を迎えたいものですね。
(参照:愛知県神社庁「お正月のお神札について」)
鏡餅を片付けるのはいつがいい?
お正月の間お供えしていた鏡餅を下げて、家族でいただく行事を「鏡開き」と呼びます。
この鏡開きの日まで鏡餅を飾っておくのが一般的です。
注意点として、鏡開きの日は地域によって異なり、その地域の「松の内(一般的にお正月の事始めから1月7日または15日までの期間)」の終わりと関連しています。
地域 | 日付 | 備考 |
---|---|---|
関東・東北・九州など | 1月11日 | 徳川幕府の時代に定められた日が由来とされ、現在でも多くの地域でこの日に行われます。 |
関西地方 | 1月15日または1月20日 | 松の内が15日までとされる地域が多く、それに合わせて15日や20日に鏡開きを行う風習が残っています。 |
京都府の一部 | 1月4日 | 武家の風習とは異なる公家の文化の影響で、他の地域より早く鏡開きを行う珍しい風習があります。 |
飾っていた鏡餅には、年神様の力が宿っていると信じられています。
刃物で切るのは「切腹」を連想させるため避け、木槌などで割って開くのが習わしです。
お雑煮やおしるこなどにして家族でいただくことで、その力を体内に取り入れ、一年間の無病息災を願いましょう。
鏡餅は置物やレプリカでもいいですか?
近年では、ライフスタイルの変化に合わせて、ガラス製や木製のおしゃれな鏡餅の置物や、中に個包装の切り餅が入っているプラスチック製の鏡餅など、様々な種類が登場しています。
こうした現代的な置物やレプリカを、インテリアとしてお正月の雰囲気を楽しむために飾ることは、全く問題ありません。
「お供え」と「いただくこと」が大切
ただし、鏡餅の持つ本来の意味を考えると、一つ注意したい点があります。
鏡餅は、年神様へのお供え物であると同時に、神様の力が宿ったお餅を後でいただく(神人共食)という行為に、非常に重要な意味があります。
神様と同じものを食べることで、その力を分けていただき、神様との結びつきを強くするのです。
そのため、おしゃれな置物だけを飾るのではなく、それとは別に食べられるお餅も一緒に用意しておくのが、より丁寧で伝統に沿った形と言えるでしょう。
小さなものでも構わないので、年神様にお供えし、鏡開きの日には家族で感謝していただくことをおすすめします。
(参照:越後製菓株式会社「鏡餅に関する質問」)
ご自身のライフスタイルに合わせて様々な飾り方を楽しみながら、古くから伝わる伝統的な意味合いも大切にして、素晴らしい新年をお迎えください。
鏡餅はテレビ台に飾っても大丈夫?まとめ
この記事の重要ポイントをまとめます。
- 鏡餅をテレビ台に飾ることは現代の住宅事情において問題ない
- 大切なのは年神様をお迎えしお祝いする気持ち
- 飾る場所は家族が集まるリビングのような賑やかな場所が最適
- テレビの真上は熱や不安定さから避けるべき
- スピーカーの近くや低すぎる場所も配慮するとより丁寧
- お盆や三方を使って少し高さを出す工夫もおすすめ
- テレビ台以外には床の間や神棚、仏壇が伝統的な飾り場所
- キッチンや寝室、トイレなど各所の神様へ小さめの鏡餅を飾るのも良い
- 飾る日は末広がりの12月28日が最も縁起が良い
- 「苦」を連想させる29日や「一夜飾り」となる31日は避ける
- 片付ける「鏡開き」は関東では1月11日、関西では1月15日など地域差がある
- ガラス製などの置物やレプリカを飾るのも良い
- ただし、置物とは別に食べられるお餅も用意するのが望ましい
- 鏡餅は神様へのお供えであると同時に、いただくことで力を授かる意味がある
- 伝統を理解しつつ、家庭のスタイルに合わせて飾ることが大切