鏡餅の容器や台の捨て方は?処分方法や分別・お清めについて

お正月が終わり、鏡餅を片付けようとした時、「このプラスチックの容器や立派な台、どうやって捨てたらいいんだろう?」と悩んで検索されたのではないでしょうか。
鏡餅本体はともかく、特に容器や台の捨て方って悩みますよね。
カビが生えてしまった場合の処分はどうするのか、お清めに塩は必要なのか、神社に持っていく「どんど焼き」に出していいのか、それとも自治体のゴミとして出すのか…処分する「いつ」のタイミングも含めて、迷うポイントがたくさんあります。
この記事では、そんな「鏡餅の容器・台の捨て方」に関する疑問をスッキリ解決していきますね。
- 鏡餅本体(カビあり・なし)の正しい処分法
- 最大の難関「プラスチック容器・台」の捨て方
- 神社(どんど焼き)に出せるモノとNGなモノ
- 罪悪感をなくす「お清め」の具体的な手順
鏡餅の容器や台の捨て方:7つの基本
鏡餅の処分は、まず「お餅の状態」を確認し、次に「容器や台の素材」を確認するのが鉄則です。
7つのステップで、処分の基本を見ていきましょう。
鏡餅の処分は「いつ」が最適?
鏡餅を処分する(片付ける)タイミングは、一般的に「鏡開き」の日とされています。
この鏡開きの日というのは、年神様(としがみさま)がいらっしゃる期間とされる「松の内」が明けてから行われます。
お正月の間、年神様が宿っていた鏡餅を、松の内が終わって神様をお送りしてから「開く」わけですね。
この「松の内」の期間が地域によって異なるため、鏡開きの日も変わってきます。
【2025年版】地域別・鏡開きの日(目安)
- 関東・東北・九州など:
松の内:1月7日まで
鏡開き:1月11日 - 関西地方:
松の内:1月15日まで
鏡開き:1月15日または1月20日 - 京都府の一部:
松の内:1月7日まで(1月3日までとする地域も)
鏡開き:1月4日に行う風習もあります
※あくまで一般的な目安です。
お住まいの地域の慣習を確認してみてくださいね。
もしカビが生えてしまって食べられない場合も、基本的にはこの鏡開きのタイミングで、感謝を込めて処分するのが望ましいかなと思います。
鏡餅の処分はカビの確認から
処分する日を決めたら、まず第一に、お餅本体にカビが生えていないかをしっかり確認してください。
これは縁起やマナーの前に、ご家族の安全に関わる最も重要な確認事項です。
ここでの判断によって、処分方法が大きく2つに分かれます。
- カビなし → 食べる(鏡開き)。これが最も望ましい、本来の姿です。
- カビあり → 食べるのは厳禁!家庭ごみで処分。詳細は後述しますが、絶対に食べてはいけません。
カビが生えていなければ、神様の力が宿ったお餅として、ありがたく「いただく」のが基本です。
鏡開きとは?やり方とマナー
カビがなかった場合、鏡餅は「鏡開き」でいただきます。
「捨てる」のではなく「いただく」ことが、カビのないお餅にとっての正しい「処分」方法なんですね。
鏡餅は、お正月の間、年神様が宿る「依り代(よりしろ)」とされています。
その神様の力が宿ったお餅を家族でいただくことで、神様をお送りし、その年の無病息災や五穀豊穣を願う伝統行事が「鏡開き」なんです。
鏡開きには大切なマナーがあります。
NG行為:包丁で切る
鏡開きで最もやってはいけないのが、包丁で切ることです。
鏡餅は神聖なものですし、「切る」という言葉は「縁を切る」や、武士の「切腹」を連想させるため、縁起が悪いとされています。
せっかくの無病息災祈願が、逆の意味になってしまいますね。
正しい方法:木槌で叩き、手で分ける
「割る」という言葉も「縁起が悪い」として避け、「開く(ひらく)」という縁起の良い言葉を使います。
乾燥して固くなった鏡餅は、木槌(きづち)などで叩いて割れ目を入れ、手で食べやすい大きさに分けるのが正しい方法とされています。
最近はパック餅で最初から小さく分かれているものも多いので、その場合はそのままお料理に使って大丈夫ですよ。
危険!カビた鏡餅は加熱してもNG
さて、ここからが非常に重要です。
もし鏡餅にカビが生えてしまっていたら…絶対に食べてはいけません。
「カビの部分だけ取れば大丈夫」「加熱すれば菌は死ぬ」と考えるのは、本当に危険です。
【警告】加熱してもカビ毒は消えません
カビた鏡餅を食べてはいけない理由は、文化的・気分的な問題ではなく、深刻な健康被害のリスクがあるためです。
理由1: 健康被害のリスク(カビ毒)
お餅に生えるアオカビやクロカビは、人体に有害な「カビ毒(マイコトキシン)」を生成する可能性があります。
これらはアレルギー疾患などを引き起こす原因となります。
理由2: 発がん性物質「アフラトキシン」の危険性
カビ毒の中には、「アフラトキシン」という非常に強力な発がん性(特に肝臓がん)が認められている物質も含まれます。
理由3: 加熱しても毒素は消えない
最も重要な点は、カビ毒、特にアフラトキシンは非常に耐熱性が高いことです。
お雑煮のように煮たり、焼いたりしても、その毒性は消えません。
(出典:農林水産省「食品のかび毒に関する情報」)
したがって、「加熱すれば安全」という考えは間違いなんです。
(この記事は処分の一般的な方法を解説するものですが、カビ毒による健康への影響は深刻な場合があります。
少しでも不安を感じたら、ご自身で判断せず、医療機関などの専門家にご相談くださいね。)
カビた鏡餅の処分はお清めと塩で
カビてしまったお餅は、残念ですが「燃えるごみ」として処分します。
カビたお餅のNGな処分方法
- どんど焼きへの持ち込み: 食べられない状態の鏡餅を、神聖な火祭りであるどんど焼きに持ち込むのはマナー違反です。そもそも「食品」の持ち込みを禁止している神社も多いです。
- 食べること(加熱調理): 前述の通り、加熱してもカビ毒は除去できないため、絶対に食べてはいけません。
とはいえ、そのままゴミ箱にポイっと捨てるのは、年神様が宿っていた縁起物だけに、少し気が引けますよね。
そこで推奨されているのが、感謝の気持ちを込めた「お清め」です。
お清めの手順
- 鏡餅の左右中央に、軽く塩を振りかけてお清めをします。
- お正月を無事に迎えられたことへの感謝を込め、手を合わせます。
- お餅を、白い紙や半紙、または新聞紙で丁寧に包みます。
- 他の生ごみなどとは別の袋に入れ、自治体の「燃えるごみ」の日に出します。
こうすることで、心理的な抵抗感も和らぐかなと思います。
神社での処分「どんど焼き」とは?
お正月飾りといえば、神社での「どんど焼き」を思い浮かべる人も多いですよね。
どんど焼きは、役目を終えた正月飾り(しめ縄、門松など)や古いお札を集めて燃やし、その煙と共に年神様を天にお送りする神聖な火祭り(神事)です。
この火で焼いたお餅を食べると、一年を健康に過ごせる(無病息災)とされています。
地域による「どんど焼き」のいろいろな呼び名
「どんど焼き」は全国的な行事ですが、地域によって呼び名が様々です。
- 左義長(さぎちょう)
- とんど焼き、とんどさん
- しんめいさん
- 鬼火焼き(きびやき)
- あわんとり
- やははいろ など
ただし、どんど焼きには持ち込めるものと、持ち込めないものの厳格なルールがあります。
これは神事であり、ごみ焼却ではないからです。
| 持ち込めるもの (OK) | 持ち込めないもの (NG) |
|---|---|
| ・しめ縄、門松 | ・プラスチック・ビニール製品(鏡餅の容器、台、ビニール製の飾り) |
| ・お札、お守り、破魔矢 | ・鏡餅本体(特にカビたもの)、みかん等の食品 |
| ・書き初め | ・仏具(お寺のもの)、人形、ぬいぐるみ |
| ・(神社による)木製・紙製の台 | ・年賀状、写真、千羽鶴、衣類など |
見ての通り、カビたお餅や食品は持ち込めません。
そして、次にご説明するプラスチック類も厳禁です。
鏡餅の容器と台の捨て方:素材別
さて、ここからが本題の「容器」と「台」の捨て方です。
現代の鏡餅セットの処分における最大の難関は、やはりこの部分ですね。
プラスチック容器は神社NG
市販されているパック鏡餅の多くは、お餅がプラスチック容器に入っています。
このプラスチック製の容器は、神社・どんど焼きへの持ち込みは絶対にNGです。
どんど焼きがプラスチック厳禁な理由
理由は主に2つあります。
理由1: 神事としての側面
どんど焼きは「神事」であり、自治体のゴミ焼却サービスではありません。
お札やお守りなど、神様に関する縁起物をお焚き上げし、年神様をお送りするための儀式です。
理由2: 環境・安全への配慮
プラスチックやビニールを燃やすと、ダイオキシンなどの有害物質が発生し、環境汚染や近隣住民への健康被害、火災の原因となります。
マナー違反であると同時に、環境や安全への配慮からも、鏡餅セットは必ず家庭で分解し、プラスチック類は取り除いてから神社に持っていく必要があります。
プラスチック製の容器は、家庭ごみとして処分するしかありません。
プラスチック製の台の処分方法
鏡餅を乗せている台座(三方・さんぽう)がプラスチック製の場合も、容器とまったく同じ理由で、神社・どんど焼きは厳禁です。
唯一の処分方法は、家庭ごみとして出すことです。
必ずお住まいの自治体の分別ルール(例:「プラスチックごみ」「燃えないごみ」など)を確認し、厳守してください。
【お清めの方法(プラスチック製品など)】
プラスチック容器や台をそのままゴミ箱に入れることに罪悪感がある場合は、カビたお餅と同じように「お清め」をすると気持ちが楽になりますよ。
- 清浄な紙を敷く: 大きめの半紙や白い紙、なければ新聞紙でも構いません。
- 処分するものを置く: 処分したいプラスチック容器、台などをその紙の上に置きます。
- 塩(または酒)で清める: 処分するアイテムに、お清めの塩を振りかけます。作法としては、「左・右・中央」の順に塩を置く、または全体に軽く振りかける方法があります。
- 感謝を伝える: 「ありがとうございました」と感謝の気持ちを込め、手を合わせます。
- 丁寧に包む: 広げた紙で、処分するものを丁寧に包みます。
- 他のごみと分ける: これが重要です。他の生ごみなどと混ぜず、それ専用の新しいごみ袋に入れて口を縛ります。
- 自治体のルールで処分: 素材に応じた指定日(「プラスチックごみ」など)に出します。
鏡餅の飾り(ビニール製)の捨て方
鏡餅セットには、お餅や台以外にも様々な縁起の良い飾りがついています。
これらも素材に応じた処分が必要です。
飾りの名称と意味(一部)
- 御幣(ごへい): 赤と白の紙を組み合わせた飾り。赤は魔除け、白は清らかさを意味します。
- 裏白(うらじろ): シダの葉。葉の裏が白いことから清廉潔白を、古い葉と共に新芽が出る様子から長寿や繁栄を象Gします。
飾りの処分方法
まず、その飾りが「本物(紙・植物)」か「模造品(ビニール・プラスチック)」かを確認することが重要です。
- 紙製・植物製(本物の裏白、紙の御幣など)の場合
- 方法1(推奨): 神社・どんど焼きでお焚き上げします。
方法2: 家庭ごみ(燃えるごみ)として、お清め(塩)をしてから処分します。 - プラスチック製・ビニール製(偽物の裏白、ビニール製の扇など)の場合
- 方法1: 家庭ごみとして処分します。神社・どんど焼きには持ち込めません。
方法2: 罪悪感がある場合は、お清め(塩)をしてから、自治体の分別ルール(プラスチックごみ等)に従って処分します。
木や紙の台は燃えるごみで処分
伝統的な木製の三方(さんぽう)や、紙製の台(箱)の場合は、対応が異なります。
これらは本来の「燃やすもの」に該当するため、処分方法が2つあります。
- 方法1(推奨):神社・どんど焼き
- これらはどんど焼きで受け入れてもらえる可能性が高いです。しめ縄などと一緒にお焚き上げしてもらうのが一番丁寧ですね。
- 方法2:家庭ごみ
- どんど焼きに持っていけない場合や、神社が受け付けていない場合は、「燃えるごみ」として出すことができます。この場合も、感謝を込めてお清め(塩)をしてから出すと、より丁寧です。
鏡餅の容器や台の捨て方 総まとめ
最後に、鏡餅の容器や台の捨て方について、全体の流れをまとめますね。
鏡餅処分のデシジョンツリー
- 【安全確認】お餅にカビは?
- カビなし → 鏡開きで食べる。神様の力が宿ったお餅で無病息災を祈願します。
- カビあり → 危険!加熱してもNG。お清め(塩)をして「燃えるごみ」へ。
- 【素材確認】容器・台・飾りは?
- プラスチック・ビニール製 → どんど焼き厳禁。神事の妨げや環境汚染になるためNGです。お清めをして「自治体の分別(プラごみ等)」へ。
- 木・紙・わら製 → B焼きOK。または、お清めをして「燃えるごみ」へ。
鏡餅の処分は、まず安全面(カビの確認)が最優先です。
カビ毒(アフラトキシン等)は加熱しても消えないため、カビたお餅は絶対に食べてはいけません。
その上で、容器や台、飾りが「伝統的な素材(木、紙)」か「現代的な素材(プラスチック、ビニール)」かを見極めます。
どんど焼きに持ち込めないもの(カビたお餅、プラスチック容器、台)は、家庭ごみとして処分するしかありません。
その際は、神聖な縁起物であったことへの感謝を込めて「お清め」(塩や酒で清め、白い紙に包み、別の袋に入れる)を行うことで、心理的な抵抗感を和らげ、丁寧に処分することができますよ。
どうしても家庭ごみとして捨てることに抵抗がある場合は、お品を神社に郵送して供養・お焚き上げをしてもらう「お焚き上げ代行サービス」を利用する方法もあります。
年神様への感謝の気持ちを込めて、最後まで丁寧に処分して、良い一年をスタートさせましょうね。
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