鏡餅を先勝や先負に飾っても大丈夫?正月行事と六曜の関係について

年末が近づくと、いよいよお正月の準備ですね。
大掃除も大変ですが、それが終わると「鏡餅」をいつ飾るか、という問題が出てきます。
これが結構、悩みますよね。
特にカレンダーに書いてある「先勝(せんしょう)」や「先負(せんぶ)」といった六曜(ろくよう)。
大安や仏滅なら吉凶が分かりやすいですが、「先勝って良い日なの?」「先負の日に飾っても大丈夫?」と不安になるかもしれません。
私自身、六曜の時間帯のルール(午前が良いとか、午後が良いとか)を知らなかった頃は、適当な日に飾っていました。
でも、鏡餅を飾る日には、六曜よりもっと優先すべき「日付」のルール(28日や29日、30日、31日のことですね)があることを知って、その優先順位に驚いたんです。
この記事では、そんな鏡餅と六曜に関する疑問、特に「先勝」と「先負」の扱いや、日付との優先度について、スッキリ解決していきますね。
- 「先勝」と「先負」の日に鏡餅を飾る正しい時間帯
- 六曜よりも優先すべき「日付」の伝統的なルール
- 「28日(仏滅)」と「29日(大安)」ならどっちを選ぶべきか
- 鏡餅を飾る日に関する最終的な結論
鏡餅は先勝や先負の日に飾ってもいいのか?
鏡餅を飾る日として、六曜の「先勝」や「先負」がどう影響するのか、気になりますよね。
結論から言うと、どちらの日も飾ること自体は問題ありませんが、「時間帯」にだけ注意が必要なんです。
なぜ時間帯が重要なのかというと、これらの日は1日の中で「吉」と「凶」が入れ替わるからなんですね。
それぞれの日の意味と、最適な時間帯を詳しく解説します。
先勝の午前は吉
「先勝(せんしょう・さきかち)」は、その漢字の通り「先んずれば即ち勝つ」という意味を持つ日です。
何事も急ぐと良い、行動を起こすなら早いほうが良い、とされる吉日なんですよ。
ただし、重要なのが時間帯です。
「先勝」は午前中が「吉」、そして午後になると「凶」に転じるとされています。
この「午前中」というのが少し曖昧ですが、一般的には「午後2時(14時)頃まで」を指すことが多いようです。
諸説ありますが、余裕を持って「お昼過ぎまで」と考えるのが良さそうですね。
先勝の日のポイント
鏡餅を飾るなら、縁起の良い「吉」の時間帯である午前中(遅くとも午後2時頃まで)に済ませてしまうのがベストです。
「何事も急ぐと良い」日なので、大掃除が終わったら早めに飾ると良いですね。
先勝の午後は凶
先ほどの通り、「先勝」の日は午後になると運気が「凶」に転じるとされています。
具体的には、午後2時頃から午後6時頃までが「凶」の時間帯とされています。
せっかく「先勝」という吉日を選んだのに、わざわざ「凶」の時間帯に飾るのは、ちょっともったいない気がしますよね。
もし午前中に飾るのが難しくても、縁起を担ぐならこの時間帯は避けたほうが良いかもしれません。
ただ、後で説明しますが、六曜よりも優先すべきルールがあるので、あまり神経質になりすぎる必要はありませんよ。
先負の午前は凶
「先負(せんぶ・さきまけ)」は、「先勝」とは正反対の性質を持つ日です。
「先ずれば即ち負ける」という意味があり、何事も急がず、控えめに、平静を保つべき日とされています。
時間帯の吉凶も「先勝」と真逆です。
午前中は「凶」とされており、慌てて何かを始めるのには向かない時間帯なんですね。
ですから、午前中に鏡餅を飾るのは避けたほうが無難かもしれません。
先負の午後は吉
「先負」の日は、午前中が「凶」である代わりに、午後が「吉」の時間帯となります。
ですから、もし「先負」の日に鏡餅を飾る場合は、慌てて午前中に飾る必要はまったくありません。
むしろ、大掃除などを落ち着いて終えてから、「吉」の時間帯である午後にゆっくりと飾るのが縁起の良い方法と言えます。
「先負」の日は「平静に過ごす」のが良い日なので、大掃除でバタバタした後に一息ついて、心を落ち着けてから年神様をお迎えする準備をする、という流れにも合っていますね。
六曜の時間帯ごとの運勢まとめ
「先勝」と「先負」以外の六曜も含めて、時間帯ごとの吉凶を一覧にまとめてみました。
鏡餅を飾る日だけでなく、何か行事があるときの参考にしてみてください。
特に「友引」や「赤口」のように、お昼の時間帯だけ吉凶が変わるものもあるので、注意が必要ですね。
| 六曜 | 読み | 時間帯の吉凶 | 鏡餅を飾る場合のアdvバイス |
|---|---|---|---|
| 大安 | たいあん | 終日「吉」 | 最強の吉日です。いつ飾っても問題ありません。 |
| 友引 | ともびき | 昼(11時~13時)のみ「凶」 | 吉日です。縁起を担ぐならお昼時を避けると良いですね。 |
| 先勝 | せんしょう | 午前は「吉」、午後は「凶」 | 吉日ですが、必ず午前中(午後2時頃まで)に飾りましょう。 |
| 先負 | せんぶ | 午前は「凶」、午後は「吉」 | 問題ありませんが、必ず午後に飾りましょう。 |
| 赤口 | しゃっこう | 昼(11時~13時)のみ「吉」 | 基本的には凶日なので避けるのが無難です。 |
| 仏滅 | ぶつめつ | 終日「凶」 | 基本的には避けるべき日とされています。 |
この表はあくまで一般的な目安です。
六曜の解釈は、地域や考え方、暦(こよみ)によって異なる場合もありますよ。
あくまで参考程度に考えるのが良いかなと思います。
鏡餅で先勝や先負より日付優先の理由
ここまで「先勝」や「先負」の時間帯について解説してきましたが、実は鏡餅を飾る日においては、六曜よりもっと大切な「日付」のルールが存在するんです。
これは私も知ったときに「なるほど!」と思った最重要ポイントです。
この優先順位を知らないと、「先勝の午前中に飾ったからバッチリ!」と思っていた日が、実は伝統的に避けるべきタブーの日に当たってしまう……なんてことにもなりかねません。
六曜より日付のルールが最優先
なぜ「六曜」よりも「日付」が優先されるのか。
それには、鏡餅の目的と、六曜の成り立ちが関係しています。
年神様をお迎えする「神事」
そもそも鏡餅は、新年の神様である「年神様(としがみさま)」をお迎えするためのお供え物(供物)です。
(出典:農林水産省「鏡もちの由来と美味しく食べるコツ」)
そして同時に、年神様が新年にいらっしゃる間の「依り代(よりしろ)=宿る場所」でもあるとされています。
その丸い形は、昔の鏡(銅鏡)に似ていることから名付けられたとされ、「家族円満」や「福が重なる」といった縁起の良い意味も込められています。
(出典:越後製菓「お鏡もちについて」)
つまり、鏡餅を飾ることは、年神様をお迎えするための大切な「神事」の一部なんですね。
六曜と神道の関係は?
一方で、カレンダーでよく見る「六曜(大安、仏滅、先勝、先負など)」は、もともと中国から伝わった、時間や方位の吉凶を見るための考え方です。
日本に定着したのは鎌倉時代末期から室町時代頃とされ、一般に広く知られるようになったのは、江戸時代末期から、あるいは戦後にカレンダーに印刷されるようになってからとも言われています。
何が言いたいかというと、日本の神様をお迎えする「神道」の行事とは、六曜は「ほぼ何の関係もない」とされているんです。
日付のタブーは日本固有の「縁起」
それに対して、これから紹介する「12月29日」や「12月31日」を避けるというルールは、日本語の「語呂合わせ(忌み言葉)」や、日本の生活慣習(お葬式との違い)に基づいています。
だから、年神様をお迎えするという神道の行事においては、神道と無関係な「六曜」の吉凶よりも、日本固有の縁起や神様への敬意に基づく「日付」のルールが最優先される、というわけなんです。
飾るのに最適な日「12月28日」
では、その最優先されるべき「日付」のルールを見ていきましょう。
鏡餅や正月飾りを飾るのに、最も良い日とされているのが「12月28日」です。
これは、漢数字の「八」が「末広がり」を意味していて、非常に縁起が良いとされるためです。
一年の締めくくりに、来年の福が「末広がり」に続きますように、という願いが込められています。
一般的に、お正月の準備を始める「正月事始め」が12月13日なので、それ以降であればいつ飾っても良いのですが、大掃除を28日までに済ませて、年神様をお迎えする準備が整った状態で飾るのが理想的とされています。
避けるべき日「12月29日」
絶対に避けるべきとされているのが「12月29日」です。
これは六曜に関係なく、最優先で避けるべき日とされています。
12月29日を避ける理由
「9」が「苦」を連想させるため、「二重苦(にじゅうく)」や、お供えするお餅が「苦餅(くもち)」、門松が「苦松(くまつ=苦を待つ)」と呼ばれるのを嫌ったためです。
新年の縁起として非常に嫌われます。
この日は、たとえカレンダーで「大安」になっていたとしても、鏡餅を飾るのは避けるべきです。
六曜の吉日よりも「29日(苦)」のタブーが優先されます。
避けるべき日「12月31日」
もうひとつ、絶対に避けるべきなのが大晦日の「12月31日」です。
これも六曜に関係ありません。
12月31日を避ける理由
大晦日に飾ることを「一夜飾り(いちやかざり)」と呼びます。
これは、お葬式の準備が「一夜限り」であることを連想させてしまいます。
新年の神様である年神様をお迎えするにあたり、たった一日、それもギリギリになって準備をすることは「誠意に欠ける」「失礼」な行為とみなされ、不吉とされているんです。
(出典:新潟総鎮守 白山神社「小正月」)
例えば、大切な来客を迎えるのに、前日の夜になって慌てて部屋を片付けるようなものかもしれません。
やはり、余裕を持って準備を整えてお迎えしたいですよね。
28日を逃したら「12月30日」
「28日に飾るのがベストなのは分かったけど、仕事や大掃除が長引いて、もし逃しちゃったら?」……そうなった場合の次善の策が「12月30日」です。
30日は特に悪い意味はなく、タブーである「29日(苦)」と「31日(一夜飾り)」を避けるための選択肢として、この日が選ばれます。
28日に間に合わなかった場合は、30日に飾りましょう。
キリも良いですしね。
28日と六曜(仏滅など)が重なったら
ここで一番悩ましいケーススタディです。
「日付」と「六曜」のルールがぶつかった時、どう判断すれば良いでしょうか?
ケース1:『12月28日(仏滅)』 vs 『12月29日(大安)』
悩み:ベストな「28日」が、六曜で最悪の「仏滅」。
タブーの「29日」が、六曜で最高の「大安」。
回答:『12月28日(仏滅)』を選びます。
理由:何度も言うように、最優先事項は「29日の(苦)を避ける」ことです。
六曜の「仏滅」を避けることよりも、日付のタブーである「29日」を避けることの方が、はるかに重要です。
ケース2:『12月30日(仏滅)』 vs 『12月31日(大安)』
悩み:28日を逃した。
バックアップの「30日」も「仏滅」。
「31日」は「大安」だけど…。
回答:『12月30日(仏滅)』を選びます。
理由:31日の「一夜飾り」は年神様に失礼であり、絶対に避けるべきタブーです。
六曜の「仏滅」を気にするよりも、神様への敬意を欠く行為(31日)を避けることを優先してください。
つまり、どんなに六曜が悪くても、「29日」と「31日」に飾るよりはずっと良い、ということですね。
ケース3:『12月28日(先勝)』や『12月28日(先負)』の場合は?
悩み:この記事のキーワードですね。
ベストな「28日」が「先勝」や「先負」だったら?
回答:絶好のタイミングです!
- 12月28日が「先勝」だった場合:
ベストな日付と吉日が重なりました。完璧を期すなら、この記事の前半で解説した通り、「吉」の時間帯である午前中(午後2時頃まで)に飾りましょう。 - 12月28日が「先負」だった場合:
ベストな日付なので、もちろん飾ってOKです。さらに縁起を担ぐなら、「吉」の時間帯である午後に、大掃除を終えてからゆっくり飾りましょう。
鏡餅は先勝や先負に飾っても大丈夫?まとめ
「鏡餅」と「先勝」「先負」について、いろいろと見てきましたが、最終的な結論をまとめますね。
鏡餅をいつ飾るか迷ったときは、次の優先順位で考えるのが一番シンプルで、伝統にも沿っているかなと思います。
鏡餅を飾る際の注意点まとめ(優先順位順)
- 最優先は「日付」:まずは「12月29日(苦)」と「12月31日(一夜飾り)」を絶対に避けます。
- ベストな日は「12月28日」:「末広がり」で縁起が良いこの日を選びます。
- 次善の日は「12月30日」:28日を逃した場合のバックアップです。
- 六曜(先勝・先負など)の扱い:上記の日付(28日か30日)を選んだ上で、「もし余裕があれば」時間帯を気にする、という程度でOKです。
- その日が「先勝」なら:午前中(午後2時まで)に飾ると、より良い。
- その日が「先負」なら:午後に飾ると、より良い。
- その日が「仏滅」でも:日付(28日か30日)を守ることを優先し、気にせず飾る。
一番大切なのは、六曜の吉凶にこだわりすぎることよりも、大掃除を済ませたきれいなお家で、年神様への感謝の気持ちを込めてお迎えの準備をすることかなと思います。
日付のタブー(29日・31日)さえ守れば、あとはご自身の都合の良い日に、心を込めて飾るのが一番ですね。
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