鏡餅はいつ買うのがいい?飾る日に合わせた準備と販売期間の目安

年末が近づくと、鏡餅をいつ買うか悩み始める方も多いのではないでしょうか。
お正月は日本の大切な伝統行事であり、その象徴とも言える鏡餅は、やはり縁起を担いでしっかりと準備したいものです。
しかし、いざ準備を始めると、「いつから飾るのが正しいのだろう?」「大晦日の一夜飾りはなぜダメなの?」といった疑問が次々と浮かんでくるかもしれません。
また、年末の慌ただしさの中で、うっかり準備が遅れ、お店に買いに行ったらすでに売り切れていた、という事態も避けたいところです。
早めに正しい知識を身につけ、安心して新年を迎える準備を整えましょう。
この記事では、鏡餅の購入に最適なタイミングから、縁起の良い飾り方、避けるべき日、そして飾った後のお作法まで、知っておきたい情報を網羅的に詳しく解説します。
- 鏡餅を買うのに最適なタイミング
- 縁起が良いとされる飾る日と避けるべき日
- 鏡餅の正しい飾り方と場所
- 飾り終えた後の鏡開きについて
鏡餅はいつ買うのがいい?
鏡餅はいつ買うのが望ましいのか?
鏡餅をいつ買うかという問いに対する最も合理的な答えは、「飾る日に合わせて、それより前に準備する」となります。
では、その「飾る日」はいつが良いのでしょうか。
伝統的に、お正月の準備は12月13日の「正月事始め」から始めると良いとされています。
この日以降であればいつ飾っても問題ありませんが、特に縁起が良いとされ、推奨されているのが12月28日です。
これは、漢数字の「八」が下に向かって広がる形をしていることから「末広がり」を意味し、繁栄を象徴するため、新年の準備に最適とされています。
避けるべき日:12月29日と31日
鏡餅を飾る上で、古くからの習わしとして避けられてきた日が2つあります。
- 12月29日:「九」の音が「苦」を連想させるため、「苦餅(くもち)」や「二重苦(にじゅうく)」につながり、縁起が悪いとされています。
- 12月31日:大晦日に飾ることは「一夜飾り」と呼ばれ、歳神様(としがみさま)に対して失礼にあたると考えられています。これは、お葬式の飾り付けが通夜から告別式までの一夜で行われることを連想させるため、新年の準備としては不適切とされるのが一つの理由です。また、年の瀬も押し迫った大晦日に慌ただしく準備をすることが、神様をお迎えする誠意に欠けるという考え方にも基づいています。
したがって、12月28日に飾ることを目標に、遅くとも12月27日頃までには購入を済ませておくのが理想的です。
もし28日に飾るのが難しい場合でも、29日と31日を避け、12月30日に飾るのが良いでしょう。
| 飾る日 | 縁起 | 理由 |
|---|---|---|
| 12月28日 | ◎(最適) | 「八」が末広がりで縁起が良いため。 |
| 12月29日 | ×(避ける) | 「九」が「苦」を連想させるため(二重苦)。 |
| 12月30日 | ○(可能) | 旧暦の大晦日と考える説もあるが、近年は一般的。 |
| 12月31日 | ×(避ける) | 「一夜飾り」となり、神様に失礼にあたるため。 |
一部の地域では「29(ふく)」と読んで「福」と捉える解釈もあるようですが、広く一般的には避けるのが無難でしょう。
遅れると買えなくなる恐れもある
「鏡餅 いつ買うか」を考える上で、縁起だけでなく物理的な販売期間も考慮しなくてはなりません。
のんびりしていると、いざ買おうと思った時には「どこにも売ってない」という事態に陥る可能性があります。
鏡餅の販売は、多くのスーパーやホームセンターでは12月30日まで、遅くとも31日の午前中には終了するのが一般的です。
お正月飾りを飾るのに縁起が良いとされる12月28日頃が購入のピークとなり、この日を過ぎるとお店は徐々に在庫を減らし始めます。
大晦日の31日は「一夜飾り」を避ける風習から購入需要が激減します。
この需要の低下を見越して、多くの店舗では30日や31日の早い時間帯で売り切り、おせち料理や年越しそばといった需要が高まる商品へと売り場を切り替えてしまうのです。
年が明けた元日以降に店頭で購入できる可能性は非常に低いです。
店舗側としても、お正月の縁起物を年明けに売れ残らせるのは避けたいという事情もあり、30日を過ぎると売り切り体制に入るのが普通です。
店舗タイプ別 販売終了時期の目安
| 店舗タイプ | 販売終了の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| スーパーマーケット | 12月30日~31日午前 | 28日をピークに在庫が減り、31日には売り場が縮小されます。 |
| ホームセンター | 12月30日~31日午前 | スーパーと同様、31日には撤去される可能性が高いです。 |
| コンビニ | 12月31日まで | 小型のものが中心ですが、24時間営業のため最後の砦になることもあります。 |
| ネット通販 | 12月中旬には受付終了 | 配送日数を考慮する必要があるため、年末ギリギリの注文はできません。 |
| 和菓子店・米屋 | 12月28日頃(予約分) | 基本は予約販売です。当日販売は少ないか無い場合があります。 |
もしスーパーなどで売り切れていた場合は、コンビニエンスストアやドラッグストア、ホームセンターを探してみましょう。
これらのお店はスーパーとは仕入れルートや在庫管理が異なるため、思わぬ在庫が残っている可能性があります。
鏡餅の使い回しは避けた方がいいの?
「毎年買うのはもったいない」と感じ、去年の鏡餅を使い回すことを考える方もいるかもしれません。
しかし、伝統的な考え方では、鏡餅の使い回しは避けるべきとされています。
お正月飾りは、毎年新たに各家庭を訪れる歳神様を、清浄な状態でお迎えするための大切な「依り代(よりしろ)」です。
そのため、鏡餅も毎年新しいものを用意するのが習わしです。
昨年のものを使い回すことは、歳神様に対して失礼にあたると考えられています。
1年間飾ったお飾りには、その年の厄や穢れが溜まっていると捉える考え方もあります。
清々しい気持ちで新しい年の幸運を願うためにも、毎年新しい鏡餅を準備するのが理想的ですね。
近年では、ガラス製や木製、ちりめん細工などで作られた鏡餅の「レプリカ(置物)」も人気です。
これらはインテリアとしてデザインされており、毎年繰り返し使っても問題ありません。
ただし、これらはあくまで「飾り」であり、食べることができないため、お供えしたお餅をいただく「鏡開き」ができないという点には留意しましょう。
伝統的な意味合いを大切にするのであれば、食べられるお餅を毎年新しく用意するのが本来の形です。
飾る日の縁起や時間帯は気にした方がいい?
鏡餅を飾る日取りについて、暦の吉凶を占う「六曜(ろくよう)」を参考にし、大安を選ぶ方も多いようです。
大安は「大いに安し」という意味を持ち、終日万事において吉とされるため、お祝い事や新しいことの始まりに最適とされています。
もし六曜を参考にするのであれば、大安を選ぶのが最も良いでしょう。
ただ、必ずしも大安に飾ることにこだわる必要はありません。
なぜなら、六曜はもともと中国から伝わったとされる、日時や方角の吉凶を占うための考え方が元になっており、お正月の土台となっている日本古来の神道の考え方とは、本来は別のものだからです。
実際に多くの神社では、ご祈祷の日取りを決める際に六曜を考慮する必要はないと案内しています。
(参考:産泰神社「【これで丸わかり!】お正月飾りはいつから飾る?」)
また、「仏滅」という名称に「仏」という字が含まれているため仏教と関連があるように思われがちですが、これも誤解です。
もともとは「物滅」と表記されていたものが変化したものであり、仏教の教えとは一切関係ありません。
お正月は歳神様をお迎えするための大切な神道の行事です。
六曜はあくまで後から日本文化に加わった俗信の一つなので、過度に気にする必要はありません。
また、飾る時間帯についても特に決まりはありません。
日取りの吉凶以上に、神様への感謝の気持ちを込めて丁寧に準備をすることの方が大切と言えるでしょう。
ご自身やご家族が納得できる、都合の良い日を選び、心を込めて準備することが何よりも重要です。
鏡餅はいつ買うのが望ましい?
鏡餅を飾る期間はいつからいつまで?
鏡餅を飾っておく期間は、一般的に「松の内」が過ぎた後に行われる「鏡開き」の日までです。
松の内とは、門松やしめ飾りなどのお正月飾りを飾っておく期間のことで、歳神様が各家庭に滞在されている期間とされています。
この松の内が明けると、お正月にお迎えした歳神様をお見送りし、鏡餅を下げていただきます。
この松の内の期間と、鏡開きの日程は、地域によって慣習が異なります。
地域別 松の内と鏡開きの目安
| 地域 | 松の内 | 鏡開きの日 |
|---|---|---|
| 関東・東北・九州地方など | 1月7日まで | 1月11日 |
| 関西地方など | 1月15日(小正月)まで | 1月15日または20日 |
関東と関西で期間が異なるのは、江戸時代に徳川三代将軍・家光の月命日が20日であったため、武家がこの日のお祝い事を避けました。
そこで、江戸幕府が鏡開きの日を11日に早めたことから、松の内も7日までに短縮されたという歴史的背景があります。
(出典:越後製菓株式会社「鏡餅に関する質問」)
鏡開きは、神様が宿っていた鏡餅を家族で分けていただくことで、歳神様から新しい生命力を分けてもらい、その年の一家の無病息災を願う大切な行事です。
下げたお餅は、お汁粉やぜんざい、お雑煮などにしていただくのが一般的です。
その際、包丁などの刃物で「切る」ことは、「切腹」を連想させるため縁起が悪いとされ、木槌などで叩いて「開く」のが習わしです。
鏡餅はどこに置くのが正しいですか?
鏡餅は、歳神様をお迎えするための神聖なお供え物であり、神様が宿る依り代です。
そのため、飾る場所も清浄で大切な場所が選ばれます。
本来は神棚があるご家庭では神棚に、ない場合は床の間に飾るのが最も適しています。
これらがない現代の住宅では、家族が集まるリビングの棚やサイドボードの上、あるいはお客様をお迎えする玄関などが良いでしょう。
大切なのは、私たち人間が見下ろすことがないよう、少し高い場所に飾ることです。
これは、歳神様への敬意を表すためです。
床に直接置いたり、人が頻繁に通る場所に置くのは避けましょう。
お供え餅との違い
鏡餅と見た目が似ているものに「お供え餅」がありますが、これらはその目的や飾る場所、時期が明確に異なります。
| 項目 | 鏡餅 | お供え餅 |
|---|---|---|
| 目的 | 歳神様への感謝と、一年の無病息災や五穀豊穣の祈願 | 仏様やご先祖様への感謝と供養 |
| 飾る場所 | 神棚、床の間、リビングなど家の大切な場所 | 仏壇 |
| 飾る時期 | 年末から松の内(正月期間)まで | 法事、お盆、お彼岸などの仏教行事 |
「鏡餅は神様へ」「お供え餅はご先祖様へ」と覚えておくと分かりやすいですね。
鏡餅は新年の幸せを願うため、お供え餅は故人への感謝を示すためのもの、と区別しましょう。
鏡餅を飾ってはいけない場所はある?
歳神様は清浄な場所を好まれるとされています。
そのため、鏡餅を飾る際には避けるべき場所がいくつかあります。
神聖なお供え物としてふさわしくない場所に飾ることは、神様に対して失礼にあたる可能性があります。
避けるべき場所の例
- 清浄でない場所:ほこりが溜まった場所や散わかった場所に飾るのは、神様に対して失礼にあたります。飾る場所は事前にきれいに掃除しておくのがマナーです。
- 不安定な場所:グラグラする棚の上など、お供えした鏡餅が落ちてしまう可能性のある場所は避けるべきです。
- 低い場所:前述の通り、人間が見下ろしてしまう床の間や低い場所は、歳神様への敬意を欠くため避けましょう。
- 人が頻繁に通る場所:玄関だとしても、ドアの開閉でぶつかる場所や、人が頻繁に通る動線上は、神様が落ち着けない場所として避けるのが賢明です。
- トイレや洗面所など:不浄な場所とされる水回りも、神様をお迎えする場所としてはふさわしくないとされています。
神聖なお供え物として、静かで清らかな、少し高い場所に敬意を込めてお飾りすることが大切です。
鏡餅は三宝なしでも飾ってもいいの?
鏡餅を飾る際、最も丁寧な飾り方は「三方(さんぽう)」と呼ばれる、三方向に穴が開いた白木の台座の上に置く方法です。
三方は神様へのお供え物を載せるための、神聖な道具です。
しかし、現代のライフスタイルでは三宝がご家庭にないことも多いでしょう。
もちろん、三宝がなくても鏡餅を飾ることは可能です。
神棚や床の間がないご家庭では、リビングの棚の上などに飾ることが一般的です。
その際、鏡餅を棚に直接置くのではなく、お皿やお盆の上に載せるだけでも、より丁寧な飾り方になります。
さらに丁寧な飾り方として、三方の代わりにお皿を使い、その上に「四方紅(しほうべに)」と呼ばれる縁が赤い色紙や、白い半紙を敷いてから鏡餅を載せる方法があります。
四方紅は、四方八方の災いを払い、繁栄を願う意味が込められています。
これにより、お供え物としての神聖さが増し、より敬意を表すことができます。
大切なのは高価な道具の有無よりも、歳神様への感謝と敬意を込めてお迎えする気持ちです。
ご家庭にあるもので工夫して、心を込めてお飾りしましょう。
鏡餅はいつ買うのがいい?まとめ
この記事の重要なポイントを、箇条書きでまとめます。
- 鏡餅は歳神様へのお供え物であり神様が宿る依り代
- お供え餅は仏様やご先祖様への供養が目的で飾る場所も仏壇
- 鏡餅の購入は12月28日までに済ませるのが理想的
- 遅れると年末にはお店で売り切れる可能性が非常に高い
- スーパーになければコンビニやホームセンターも探してみる
- 飾る日は末広がりの「八」がつく12月28日が最適
- 12月29日は「二重苦」を連想させるため避けるのが無難
- 12月31日は「一夜飾り」となり神様に失礼にあたるため避ける
- 六曜の大安にこだわる必要はなく、感謝の気持ちが最も重要
- 鏡餅の使い回しは毎年新しいものを用意するため避ける
- ガラスや木製のレプリカはインテリアとして使用可能
- 飾る場所は神棚や床の間、またはリビングなどの清浄で高い場所
- 不安定な場所や低い場所、不浄な場所は避ける
- 三宝がなくてもお皿や半紙、四方紅などで代用可能
- 飾る期間は「松の内」が明け「鏡開き」まで
- 関東の鏡開きは一般的に1月11日
- 関西の鏡開きは1月15日や20日が多い
- 鏡開きでは包丁を使わず木槌などで「開く」のが作法
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