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砂糖でできた鏡餅を飾る地域はどこ?上白糖を使う地方のお供え物

2025年11月18日鏡餅

砂糖でできた鏡餅を飾る地域はどこ?上白糖を使う地方のお供え物

お正月の準備でスーパーに行くと、当たり前のように鏡餅が並んでいます。

多くの人が思い浮かべるのは、白く丸いお餅が二段に重なった姿でしょう。

しかし、旅行先やいつもと違うお店で、砂糖でできた鏡餅を見かけると、「これは一体何だろう?」と驚くかもしれません。

実は、砂糖の鏡餅は、特定の地域で古くから受け継がれている独特の正月文化なのです。

この記事では、砂糖の鏡餅がどのような地域で使われているのか、そして一般的な餅の形や飾りといった風習との違いについて、背景を掘り下げながら詳しく解説します。

この記事を読んでわかること
  • 砂糖の鏡餅が使われる具体的な地域
  • 砂糖の鏡餅の背景や食べ方
  • 鏡餅の形や飾りの地域による違い
  • 鏡開きの日程に関する地域の差

砂糖で作られた鏡餅を飾る地域はどこ?

この章の内容
  • 砂糖でできた鏡餅を飾る地域はどこ?
  • 砂糖菓子自体は珍しくないが鏡餅はレア
  • 該当地域以外でも通販で入手可能
  • 砂糖の鏡餅はどうやって食べるの?

砂糖でできた鏡餅を飾る地域はどこ?

砂糖でできた鏡餅を飾る文化は、日本の特定の地域に限定されています。

実際にSNS上で行われた調査では、砂糖の鏡餅を知っているかという問いに対し、「なにそれ🙄」という回答が81.4%にものぼりました。

このことからも、非常に局所的な文化であり、多くの人にとって馴染みのないものであることが分かります。

では、具体的にどの地域でこの文化が確認されているのでしょうか。

東海地方(愛知県・岐阜県)
愛知県では、砂糖の鏡餅が比較的一般的であるという情報が寄せられています。

実際に、この砂糖の鏡餅を製造している会社は愛知県(名古屋市や津島市)に複数存在しており、文化の担い手が今も活動しています。

また、お隣の岐阜エリアのスーパーマーケット(バロー、オークワ、イオンなど)でも年末になると販売されているとの情報があり、この地域一帯に根付いている文化であることがうかがえます。

北陸地方(石川県・富山県)
北陸地方、特に石川県や富山県周辺でも、砂糖の鏡餅が飾られる文化があるようです。

「四半世紀ほど前は金沢のスーパーでも見かけた」というネットの書き込みなどもあり、東海地方と並んで砂糖の鏡餅が一定の認知度を持つ地域と考えられます。

一方で、関東地方や東北地方では、その存在はほとんど知られていないようです。

関東在住歴が長い人や、福島県(東北)出身者からは「見たことも聞いたこともない」という声が上がっており、砂糖の鏡餅の文化がいかに限定的であるかを物語っています。


砂糖菓子自体は珍しくないが鏡餅はレア

砂糖を成形して贈答品や飾り物にする「祝い砂糖」と呼ばれる文化は、日本各地に存在します。

例えば、結婚式や法事の引き出物として、縁起の良い鯛や清らかな蓮の花の形をした砂糖菓子が配られる習慣を経験したことがある人もいるでしょう。

また、日本の砂糖文化を語る上で欠かせないのが、江戸時代に海外との唯一の窓口であった長崎から、佐賀、福岡へと続く「シュガーロード(長崎街道)」です。

この街道を通じて輸入された貴重な砂糖が、沿道の地域に独自の菓子文化を発展させました。

その中には、砂糖を煮詰めて木型に入れ、美しい色で彩色した「金華糖(きんかとう)」のように、砂糖そのものを成形して飾る菓子も含まれます。

砂糖の鏡餅のルーツは?
砂糖の鏡餅も、こうした「祝い砂糖」の文化から派生したものと考えられています。

一説には、戦後の食糧難の時代に、まだ貴重品であった餅の代用品として、祝い砂糖の製造技術を応用して考案されたのが始まりとも言われています。

創業1744年(延享元年)の砂糖商である株式会社駒平キウブ商事(駒屋)「紅白鏡餅・誕生餅」によると、戦後に七代目が餅の代わりに砂糖を使った高価な贈り物として考案したとされています。

このように、砂糖を成形した菓子や飾り自体は各地に存在しますが、一年で最も重要な行事であるお正月専用の「鏡餅」の形をしている点は、非常に珍しく、ユニークな文化と言えるでしょう。


該当地域以外でも通販で入手可能

「自分の地域では売っていないけれど、砂糖の鏡餅を飾ってみたい」。

そう思っても、前述の通り、販売されている地域は非常に限られています。

スーパーなどで手軽に購入することは難しいかもしれませんが、現在はインターネット通販を利用して全国から購入することが可能です。

愛知県の製造会社(株式会社大糖産業や、前述の株式会社駒平キウブ商事(駒屋)など)が自社のオンラインショップを運営しており、さまざまなサイズや価格帯の砂糖鏡餅を全国に発送しています。

また、楽天やYahoo!ショッピング、Amazonなどの大手通販モールでも「砂糖 鏡餅」として検索すると、多くの商品が見つかります。

中には、飾り用の立派なエビや御幣(ごへい)、三方台(さんぽうだい)まで全てがセットになった商品もあり、届いてすぐに本格的なお正月飾りとして手軽に飾れるようになっています。


砂糖の鏡餅はどうやって食べるの?

砂糖の鏡餅は、見た目こそ伝統的な鏡餅ですが、その中身はもちろん餅ではありません。

その正体は、固く成形された「上白糖」です。

そのため、一般的な鏡餅のように「鏡開き」の日に木槌で割ったり、焼いてお汁粉にしたり、煮てお雑煮にしたりして食べるものではありません。

合理的!砂糖の鏡餅の使い方

砂糖の鏡餅は、非常に合理的で現代にも合った特性を持っています。

  1. お正月飾りとして
    餅ではないため、暖房の効いた室内に長期間飾ってもカビが生えたり、ひび割れたりする心配がありません。美しい状態のまま、お正月が終わるまで飾ることができます。
  2. 調味料として
    飾った後は、外側のフィルム包装を解き、中身の砂糖を普段の料理やお菓子作りの調味料として、文字通り「使い切る」ことができます。
  3. 長期保存が可能
    砂糖は品質が非常に安定した食品であり、法律上も賞味期限の表示が免除されています。そのため、飾った後も慌てて消費する必要がなく、無駄になることがありません。

縁起物としてお正月を彩った後、実用品として家庭で消費できる――。

これは、食品ロスが問題となる現代において、非常に賢明でサステナブルな文化と言えるでしょう。


砂糖の鏡餅を使う地域はどこなのか?

この章の内容
  • 鏡餅は地域によってさまざまな形態がある
  • 鏡餅の周りに置く物も地域によって違う
  • 鏡開きの時期も関東と関西でズレがある

鏡餅は地域によってさまざまな形態がある

砂糖の鏡餅というユニークな文化が存在するように、鏡餅やそれにまつわる風習は、地域によって実に多様な形態が存在します。

私たちが「これが当たり前」と思っている鏡餅の姿も、一歩外に出れば「珍しい」ものかもしれません。

石川県の「紅白鏡餅」

砂糖の鏡餅の文化が残る石川県では、そもそも餅で作る鏡餅の色が全国のスタンダードとは異なります。

全国的には上下とも白い餅を重ねますが、石川県では上が赤(紅)、下が白の餅を重ねる「紅白鏡餅」が一般的です。

スーパーマーケットにも、ごく普通に紅白の鏡餅が並びます。

この鮮やかな紅白の由来には、地域ならではの諸説があります。

  • 加賀藩前田家の祖とされる菅原道真公ゆかりの「紅梅・白梅」にちなんでいるという説。
  • 倶利羅峠(くりからとうげ)の源平合戦における、平氏の「赤旗(赤色)」と源氏の「白旗(白色)」を模しているという説。

ちなみに、こんな興味深い話も伝わっています。

「かつてお殿様が飾っていたのは『上が白、下が赤』だったが、庶民が殿様と同じでは恐れ多いとして、あえて上下を逆にして飾るようになった」というものです。

色の違い一つにも、その土地の歴史や人々が息づいています。


お雑煮の餅「角餅 vs 丸餅」

お正月に欠かせないもう一つの餅料理「お雑煮」。

このお雑煮に入れる餅の形も、日本地図を二分するほど明確に地域で分かれます。

一般的に、東日本は「角餅」西日本は「丸餅」が主流です。

農林水産省の解説によれば、日本の餅はもともと、神事にも用いられる神聖な「鏡」を模した丸い形(丸餅)が主流でした。

しかし、江戸時代に人口が爆発的に増加した江戸の町で、一つひとつ手で丸めるよりも効率的に大量生産できる「のし餅(平たく伸ばした餅)」を切り分ける「角餅」が広まったとされています。(出典:農林水産省 広報誌 aff(あふ)2020年1月号「地域で違う餅の形」

この文化の境界線は、奇しくも天下分け目の地である岐阜県の関ケ原あたりにあると言われています。

角餅・丸餅文化の例外地域
ただし、この分類にはいくつかの例外があります。

東日本に分類される地域でも、北前船によって京都の公家文化の影響を強く受けたとされる山形県庄内地方や、餅を搗く回数が非常に多い岩手県一関市は「丸餅」文化が主流です。

逆に西日本でも、江戸時代に藩主が長く江戸に留まったとされる高知県(土佐)や鹿児島県(薩摩)の一部では、江戸の「角餅」文化が持ち帰られ、今も使われることがあります。


「餅なし正月」の地域

さらに驚くべきことに、正月にはあえて餅を食べない「餅なし正月」という風習を守る地域も、少数ながら存在します。

東京都足立区四ツ家(現在の青井1丁目、2丁目付近)
この地域には、お正月に餅の入らない「芋雑煮(里芋の雑煮)」を食べる風習があります。

その由来として、開拓時代の苦労を忘れないためという説や、かつて正月に火事を起こしてしまい、それ以来、火を使う餅つきを禁じられたためなど、様々な言い伝えが残っています。

徳島県祖谷(いや)地方
平家の落人伝説が残る山深い祖谷地方では、米作りが難しかったため、餅の代わりに豊富に採れる里芋や、この地域特産の固い「岩豆腐」を使ったお雑煮が伝統となっています。


鏡餅の周りに置く物も地域によって違う

鏡餅そのものだけでなく、その周りを彩る「お供え物(飾り)」にも、それぞれに縁起の良い意味が込められています。

何を飾るかは地域や家庭によって組み合わせが異なりますが、代表的なものには以下のような意味があります。

飾り意味・由来
橙(だいだい)一つの木に実が何代も残ることから、家が「代々」栄えるようにという願いが込められています。
裏白(うらじろ)シダ植物の一種。葉の裏が白いことから「清浄な心」を、葉が左右対称の形をしていることから「夫婦円満」を表します。
紙垂(しで)白い紙を稲妻の形に折ったもの。四方に垂らすことで、神聖な場所を示し、邪悪なものを追い払う意味があります。
串柿(くしがき)干し柿を串に刺したもの。「嘉来(かき)=喜びが来る」の語呂合わせや、三種の神器の「剣」を模したとされる説があります。
昆布(こんぶ)「よろこぶ」という語呂合わせや、「子生(こぶ)」として子孫繁栄を願う縁起物として飾られます。

これらの基本的な飾りに加え、例えば京都の一部の家庭では、鏡餅を三段重ねにしたり、「星つきさん」と呼ばれる小さな飾り餅を添えたりするなど、さらに独自の風習が見られることもあります。


鏡開きの時期も関東と関西でズレがある

お正月に年神様(歳神様)にお供えした鏡餅を下げて、家族で分けて食べる行事を「鏡開き」と呼びます。

この鏡開きを行う日付にも、実は地域によって大きな違いが存在します。

鏡開きは、年神様が家に滞在する期間である「松の内」が終わってから行うのが一般的です。

この「松の内」の期間が地域によって異なるため、鏡開きの日付にもズレが生じています。

地域別・鏡開きの日程

一般的に、鏡開きの日程は以下のように分かれています。

  • 関東・東北・九州などの多くの地域
    松の内が1月7日まで(7日に正月飾りを外す)とされる地域が多く、鏡開きは神様がお帰りになった後の1月11日に行うのが一般的です。
    (出典:日本鏡餅組合「鏡開き」
  • 関西地方
    松の内を1月15日まで(小正月)とする地域が多いため、鏡開きは1月15日、または20日に行われます。
  • 京都府(一部)
    非常に特徴的な地域として、京都では三が日が明けたらすぐに鏡餅を下げ、1月4日に鏡開きを行う場合もあります。

なぜ日程が違うのか? 歴史的背景
かつては全国的に「二十日(はつか)正月」として、1月20日に鏡開きを行っていた説があります。

しかし、江戸幕府の三代将軍・徳川家光が慶安4年(1651年)の4月20日に亡くなったため、月命日である「20日」の祝い事を避けるようになりました。

そこで幕府は、松の内を1月7日までと短縮するお触れを出し、鏡開きの日付を蔵開きの日に合わせて11日に変更したと言われています。

この幕府のお触れが、中心地であった江戸(関東)には広まったものの、遠方の関西地方には完全には広まらなかったため、現在も日程に違いが残っていると考えられています。

このように、砂糖の鏡餅という一つの珍しい文化をきっかけに調べてみると、鏡餅の形、色、お雑煮の食べ方、そして鏡開きの日程に至るまで、日本のお正月文化がいかに多様であるかが分かります。


砂糖で作られた鏡餅を飾る地域はどこ?まとめ

この記事の重要ポイントを、箇条書きにてまとめます。

  • 砂糖の鏡餅は主に愛知県・岐阜県・石川県・富山県など東海・北陸地方で見られる
  • 該当地域以外でもインターネット通販などで購入が可能
  • アンケートでは8割以上が「知らない」と回答する珍しい文化
  • 砂糖の鏡餅は「祝い砂糖」の文化がルーツとされる
  • 戦後の食糧難時代に餅の代用品として考案されたという説もある
  • 中身は上白糖で飾った後は調味料として使える
  • 賞味期限がなくカビの心配もないため合理的
  • 石川県では「紅白鏡餅」が一般的
  • 東京都足立区や徳島県祖谷地方には「餅なし正月」の風習がある
  • お雑煮の餅は東日本が「角餅」西日本が「丸餅」と分かれる
  • 鏡餅の飾り(橙・裏白・串柿など)にはそれぞれ意味がある
  • 鏡開きの日程は地域によって異なる
  • 関東は1月11日、関西は1月15日や20日、京都では1月4日に行う地域もある
  • 日程の違いは「松の内」の期間が地域によって異なるため
  • 正月文化には多様な地域差が存在する

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